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「わ…私の名はクロワッサン仮面!カラス丸の助っ人!」


死ぬほど恥ずかしいだろうに、リンゴは必死に用意していたセリフを口にする


「オニギリ君は見ての通り、A.Tを片方履いてません!よってパーツ・ウォウ共通規約に従い今までの戦を無効、私との交替を申請しますッ!」


周囲に流れる空気はこれでもかと言う程冷たく、皆何とも言い難い表情で突然現れたリンゴを見ている

何しろ今の彼女の姿は、本ッ当に大事な部分を辛うじて隠している状態で、顔を隠すためかカバンを頭にかぶっている

"仮面"すらなく、もはや立派な露出狂だった

朱音はもう茫然とそれを見ることしかできない

まさかあんな姿になってまで出てくるなんて――…

あの服(と言えるかは非常に疑問だが)は間違いなくシムカが入れ替えたもので、ということは自然と"彼女"が――


「おまちになって!!」


『やっぱり、か……』


予想通り過ぎる展開にもはや笑いさえこみ上げてくる


「勝手なことは許しませんわよっ!この真☆スク水仮面がっ!!」


オーホッホッホッと高笑いと共に現れたのは、本来リンゴが着るはずだった水着を着た"渡り鳥"シムカ

リンゴが必死にシムカが偽者だと主張するが、それを信じる人なんているわけがなく、結局リンゴがキれてバトルをすることになっていた










「…うわぁ…あの声、まさか……」


「まぁ…スク水のほうはシムカだな」


嫌そうな表情を浮かべて独り言を呟いたスピット・ファイアの言葉に相槌がかえってくる


「鵺くん、と…?」


振り返った先にいた人物のうち1人はとてもよく知る少年だったが…傍らにいる少女は初めて見る顔でスピット・ファイアは首を傾げる


「あ、コイツさっきその辺で拾った」


『朱音、です…』


少しビクビクしながら挨拶をする朱音

鵺とは違って彼とは"何年も前"からの付き合いがある人物で、いくら変装しててもバレてしまう可能性が……


「…………初めまして。僕はスピット・ファイアだから、宜しくね」


知ってます、なんて言えるわけがないため、愛想笑いを総動員して笑みをつくる


『宜しく、お願いします』


無言の沈黙が続いたところは、敢えて触れません



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