07
口を貝にした俺に呆れたのかどうかは知らないがカナタさんもそれ以上何か言うこともなく、ただ静かに時が過ぎていく。
「…来たか」
10分ほどたった後、カナタさんがポツリと呟いた。
「――カナタさん!!」
その呟かれた言葉の後、小柄な人影が勢いよく現れてカナタに飛びついた。
「会いたかったですカナタさん!」
「おー、久しぶりだなウル。元気にしてたか?」
「はいっ!」
ウルと呼ばれた人物は、本当にカナタさんに会えたことが嬉しいのかずっとニコニコしている。
身長は至って小さく、たぶん柚樹とどっこいどっこいなぐらいしかない。
亜麻色の長い髪は後ろで一つにしばられており、目は見たことない暗い赤…ダークレッドだ。
「はい、適当にですが服持ってきました!」
「サンキュ。動けなかったから助かったよ」
「いえいえ!カナタさんのためなら例え火の中水の中、です!」
顔立ちはやはりというか整っており、系統とすれば柚樹と同じ"かわいい"系というべきか
しかし……ウルは、男だろう。
カナタさんと並んでいても全く遜色ない容姿をしていて、全く違和感はないけど、男だ。
「一応紹介するか。コイツはウル。たまに俺と組んで仕事をすることがある。んでこっちがユウで、俺が拾った」
「ウルです。宜しくお願いします…ユウさん」
「よ、よろしく…」
ギロリと睨まれたのは、絶対に見間違いなんかじゃない…はず。
。
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