06
「…何だよ」
「い、今の電話の相手って…こ、恋人?」
何故か全然考えたこともなかったけど、こんなにかっこいいなら彼女の1人や2人いても全然おかしくない。
泊まるとか置いてある服とか……明らかにエロイことやってる関係に決まってる。
ほぼ確信を持って聞いたのにも関わらず、返ってきた答えは否。
「違うけど」
「え、違う!?だって泊まるとか…」
「あぁ、それ?別に泊まったりセックスしたりはするけど別に付きあってはない、と言えば分かるか?」
「えぇ!?それって…!!」
所謂、セフレというやつじゃ…
言葉自体はよく知るものだが、実際にいるだなんて…!
まぁカナタさんのこの容姿をもってすればセフレの1人や10人ぐらい全くもって不可能ではないだろう。
「…お前ほんとーに化石みたいな奴だな。別に普通のことじゃねーか」
「化石…」
「結構顔立ち自体は整ってんのにお堅い処女みたいな貞操概念持ってるんじゃなぁ…」
「俺がいた世界はこれぐらいが普通なんだよ!」
「へぇーだとしたら随分窮屈な世界だな」
耐えきれないとばかりにわざとらしくため息をつくカナタさんは本気でそう思っているらしく、やはり世界が違うんだと感じてしまう。
向こうで常識だと思っていたことがこちらでは非常識で、こっちの常識は向こうじゃ考えられないようなことだってある。
…まぁ魔法があるという時点で色々おかしいのだが
「ま、テメェもここでしばらく生きていくことになるんだから…受け入れないと辛いことだってあるぞ」
「……そんなことぐらい分かってる」
「どうだかな」
鼻で笑われ、何も言う気になれなかった俺は口を閉ざした。
。
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