白い悪魔、黒い天使 | ナノ




07



――月の寮


「紅まり亜は正当な手続きと誓約を経て編入してきた。……あとは生まれつき身体が弱いらしく今まで"夜の社交界"に出たことはない…」


これぐらいか、と呟きながら手元の資料を見ているのは架院暁だ

その隣を歩いている藍堂はどこか心あらずの様子である


「………なぁ暁。"あの女"を見たことがあるか…?」


「あの女…?」


「"玖蘭"と同格の血統でありながら、乱心の末姿をくらました純血種…"緋桜閑"…だよ」


「…錐生家の事件のあと行方不明に…死んだとも言われてるな…緋桜家の最後の1人と言われてる人だろ?」


俺は会ってない、という暁に藍堂の表情は変わらず浮かないものだ

不吉だから、という理由で2人の会話はそこで終了となった















――そしてまた別の一室


「枢。あの編入生…どうしよっか?」


一条と枢が話をしている


「じゃあ一条。君が面倒みてあげるといい。僕が表立って動くと問題になるし――」


その言葉に嫌そうにえ、と言葉が漏れた一条に何か言うわけでもなく、枢は言葉を続ける


「この学園には彼女の欲しい"コマ"と"人"が揃ってるからね……」


「駒…ね。そういう言い方も確かにあるか…揃ったのは偶然?」


「――違う。僕が揃えたんだ…」


"彼女"以外はね

口には出さずそう呟いた枢の脳裏に、ある1人の女性が浮かんだ




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