■ 揺蕩に祈る

   背中の揺るぎない正義と嗜好品の葉巻から揺蕩う煙は相反しているようで、とても不安定だと思う。

   不安定なまま、彼も気づいたら消えてしまうのではないかと身勝手な不安がよぎり、思わず前をゆくコートを握りしめた。


「......勝手にいなくならないでくださいね」


   それでも歩みを止めない彼に、祈るようなこの声は届いただろうか。

[ prev / next ]
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -