「えっとじゃあ部屋王を決めるってことで!」

燃える者、焦る者、楽しんでる者、欲望をむき出しにする者、全く興味ない者、さまざまな者がいる中で、部屋王決定戦が始まった。

4階は爆豪、切島、障子の部屋があった。
爆豪はここにはおらず、「くだらねえ。先に寝る」と言ってとっとと部屋に戻ってしまったのだ。


切島ルーム

「多分女子にはわからねえぞ。この男らしさは!」

大漁や必勝などのアツいタペストリーに、目標が貼り付けた紙。真ん中に置いてあるサンドバックがとても目をひいた。

「…うん」
「彼氏にやってほしくない部屋ランキング2位くらいにありそう」
「アツイ!アツクルシイ!」
「ある意味上鳴と同系統だな。暑苦しさをかき集めた感じが」

切島の部屋を女子たちはものすごいキレ味でバッサリと次々と斬った。


障子ルーム

「何も面白いものはないぞ」
「面白いどころか!」

障子の言葉に、どれどれと中をのぞいてみると、文字通り何もなかった。
布団と机のみ。本当に必要最低限のものだけだ。

「ミニマリストだったのか」
「まぁ幼い頃からあまり物欲がなかったからな」

轟と障子の横でチャチャを入れる峰田に凛は凍りついたような目を向けた。

「こういうのに限ってドスケベなんだぜ」
「おまえの変態理論を障子に当てはめるな」


瀬呂ルーム

「おお!エイジアン!」

部屋の中は、アジアンテイストで統一されており、家具から何に至るまでオシャレの極みだった。
これには、今日初めての高評価が女子たちの口から飛び出した。

「ステキー」
「サイトに載っていそうだな」
「瀬呂こういうのこだわる奴だったんだ」

「へっへっへ。ギャップの男 瀬呂くんだよ!」


轟ルーム

凛以外の皆が、クラスのイケメン実力者ボーイの部屋にドキドキする中、入ってみると

「和室だ!!」
「造りが違くね!?」

本当に自分たちと同じ部屋かと誰もが驚愕する横で、まぁ、当然の反応だよなと凛は苦笑を浮かべた。

「実家が日本家屋だからよ。フローリングは落ち着かねえ」

「理由はいいわ!当日即リフォームってどうやったんだ。おまえ!」

「…頑張った。な?」
「ああ。そうだな」

理由にならない理由を述べ同意を求める轟に、凛は小さく笑って同意した。

「でも今思えば、私は焦凍の部屋に1番最初に入ったんだな。嬉しいな」

彼女の言葉に轟は、そう思ってくれてることに幸せを感じる反面、あることに眉間にわずかにシワを寄せた。


砂藤ルーム

「まーつまんねー部屋だよ」
「轟の後は誰でも同じだぜ」
「ていうか良い香りするのコレ何?」

確かに砂藤の部屋は尾白並みの普通さを漂わせていたが、一箇所だけ他の部屋にないものが置かれていた。

「ああイケね!忘れてた!だいぶ早く片付いたんでよ。シフォンケーキ焼いてたんだ!みな食うかなと思ったよォ…ホイップがあるともっと美味いんだが…食う?」

「「「食う〜!!」」」

やはり、女の子。甘いものには目がなかった。
もちろん適用されない人も世界にはいるが、A組女子は皆適用組だったのだ。
シフォンケーキという目の前の宝石に両手を上げて駆け寄って行った。

「「模範的意外な一面かよ!!」」

競争心が燃えたぎる上鳴、峰田はやってられねーよとでも言うようにくわっと目を見開いた。

「あんまぁい!フワッフワ!」
「ボーノボーノ〜」
「瀬呂のギャップを軽く凌駕した」
「素敵な趣味をお持ちですのね。砂藤さん!今度私のお紅茶と合わせてみません!?」

女子からの本日1番の高評価が炸裂した。
砂藤のシフォンケーキは本当に美味しく、対抗心メラメラの男子まで虜になっていた。

「本当に美味しいな」

大好きな甘いものに凛が目を細め幸せそうに食べていると、轟が彼女の方にそっと手を伸ばした。
そのまま、彼女の口元についていたケーキの食べかすを拭い取り、ペロリと舐めた。

一連の流れを間近で見ていた凛は、ケーキを片手にピシリと固まった。
そんな彼女にふっと轟は笑った。

「ついてた」

「あ…ありがとう」

最近やっと轟のスキンシップに凛は、恥ずかしさよりも嬉しさが優っていたことに気づいた。
なので彼女は照れ隠しではなく、素直にお礼を言った。

むしろ、近くで見ていた緑谷の方が慌てていたのだった。

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