期末試験、筆記試験は皆きちんと実力を出せ手ごたえがあるようだった。

そして、演習試験当日

「それじゃあ演習試験を始める」

コスチューム姿の凛たちの前には多くの先生がいた。
なぜ、期末試験にこんなに先生がと凛は嫌な予感がした。

「諸君なら事前に情報を仕入れて、何するか薄々わかってるとは思うが…」

「入試見てぇなロボ無双だろ!」
「花火!カレー!肝試ー!」

相澤の言葉に、上鳴と芦戸はもう林間合宿に行く気満々だった。
だが、そんな空気をぶち壊す勢いで、相澤の捕縛紐の中から校長がひょこっと飛び出して来た。

「残念!諸事情があって、今回から内容を変更しちゃうのさ!」

最近、敵の活性化が目立つため、対敵戦闘を踏まえて、より実践的な教えにしたいと学校は考えた。
そこで、今回の演習試験は二人一組でチームになってもらい、教師一人と戦闘を行うことになった。
ペアの組み合わせと対戦する教師は、動きの傾向や成績、親密度などで事前に決定していた。

「まず、轟と八百万がチームで俺とだ。そして緑谷と爆豪がチームで」

「デ…!?」
「かっ…!?」

相澤の言葉に当事者2人はまさかの相手に驚愕し、お互いを見た。
そして肝心の相手が

「私がする!!協力して勝ちに来いよ。お二人さん」

なんと、No.1ヒーローのオールマイトだった。
当事者ではない凛でもわかった。
この組み合わせは最悪だと。
だからこそなのだろうとさすがの采配に、自分も並大抵にはいかないと改めて思った。

次々と組み合わせが発表されていく中、最後なぜか1人だけ余ってしまい凛は、まさかと不安がよぎった。

「で、最後に八木だが、お前は1人な」

「はぁ…」

やっぱりと凛は、ため息をつき頭を抱えた。

「八木の対戦相手は現地にいるから、あとはそこで確認しろ」

試験はそれぞれのステージ一斉スタートで、試験内容は各々の対戦相手から伝えられるという。
皆がバスに乗り込む中、凛は轟に声をかけた。

「轟!百のことなんだが…最近元気がないと思うんだ。だから、轟から気にかけてあげてくれないか?きっと…自分からは言い出せないはずだから」

凛は体育祭以降、彼女がどこか自信を失っているのに気がついていた。
そして、その背中を押してあげられるのは同じ推薦入学者というスタート地点にいた彼だけなのだとも思っていた。
なら自分にできるのは、轟に気がついてもらえるようにすること、それだけだった。

「?…わかった」

凛が何を言いたいのかいまいち要領を得なかった轟だったが、あまりに真剣な彼女の目に頭に入れておこうと轟は素直に頷いた。

「じゃあ、お互い試験頑張ろうな」
「ああ」

2人はお互いに頷き、それぞれの試験会場に向かうのだった。


―――


対戦相手は誰だろうかと1人でバスに揺られながら考えていると、あっという間に演習場に着いてしまった。

降りて、中に入ると予想もつかなかった人物がいた。

「ホークス…!?」

そう、そこにいたのはNo.3ヒーローのホークスだった。

「八木凛さんだね?はじめまして。俺が君の対戦相手だよ」

「雄英卒業者じゃないあなたがなぜ…」

凛は未だに状況が飲み込めず、目の前で呑気に手を振っているホークスに困惑しながら尋ねた。

「まぁ最初は引き受けるつもりなんてなかったんだけどさ、 対戦相手が君だったからね」

ホークスの言葉に凛は、どういう意味かとますますわからなくなった。

「体育祭見た時さ、君は今後、俺と関わることになるってそう直感したんだよね。職場体験の指名もさ、3人までできたなら確実に君にも入れてたよ」

理由にもあまりなっていない事に、凛は首をかしげることしかできなかった。
ホークス自身はなんとも思っていないようで、ヘラヘラと大したことないとでも言うように笑った。

「まぁ俺にもわからないことだから、あんまり気にしないで」

「はぁ…」

まぁこれから試験も始まるわけだし、凛は生返事をして気にすることをやめた。

制限時間は30分。
達成条件は、ハンドカフスを対戦相手にかけるor1人でも脱出ゲートから脱出すること。

「実力差が大きすぎる場合は、逃げて応援を読んだ方が賢明な時もある。情報通だからね、知ってるよ」

ヒーロー殺しのことを言っていると凛はすぐに気がついた。
確かに、前回同様である。判断力が試される試験だ。

しかし、それでは逃げの一択になるということで、対戦相手は皆、超圧縮重りをハンデとしてつけることになっている。本来なら体重の半分なんだが。

「八木さんは1人だから、俺の体重と同じ重さをつけてる。動きづらいし、体力は削られる。おっと、そうこうしてる間にもう始まるね」

凛は、胸がドキドキ鳴っていた。
No.3が相手ということもあり、生半可な覚悟ではやられるという緊張感と、No.3に挑める高揚感の高鳴りだった。

ホークスが姿を消し、凛がスタート地点に到着すると、リカバリガールの放送が、会場に響き渡った。

『皆、位置についたね。それじゃあ今から雄英高1年。期末テストを始めるよ!レディィイイーーーーゴォ!!』

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