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昼休憩中、葉隠とお昼ご飯を食べていると八百万と耳郎がやって来た。
「皆さん!大変なんです!女子は午後チアガールの服を着て応援合戦をしなきゃきけないそうなんです」
「百…それ誰が言ったんだ…?」
八百万の言葉に凛は、怪訝な眼差しを向けた。しかし、八百万の返答にますます信じられなくなった。
「峰田さんと上鳴さんが相澤先生から聞いたと」
「本当に相澤先生が?峰田と上鳴からとかいう時点で怪しくないか?」
「でもこのままだと減点されてしまうかもしれません。衣装は私が用意しますから、お二人も早く!」
「いや…私は…」
急かす八百万に、そんなミニスカートなど履いたことない凛はどうしてもチア服を着たくなくて抵抗しようとするが、腕を隣にいた葉隠に引っ張られた。
「いいじゃん!楽しそう!凛ちゃんも早く行こー!!」
「う…ああ…わかった…」
可愛い反応をする葉隠に凛は、断るに断れずそのままA組女子に連行されてしまった。
―――
『ん?アリャ?どーしたA組!!?』
頼む聞かないでくれと凛は切実に思った。
それもそのはず。
チアガールの格好をしているのは、A組女子だけだったからだ。
「峰田さん、上鳴さん!騙しましたわね!?」
凛の予想通り、峰田と上鳴の策略だったのだ。
「何故もこうも峰田さんの策略にハマってしまうの。私…」
「アホだろ。あいつら…」
落ち込む八百万と恥ずかしそうに怒る耳郎に凛は、笑いかけた。
「2人とも大丈夫だ。仇はとる」
身を斬る思いで着た凛は、怒り心頭で剣を引き抜いた。
静かに怒る凛に、いつもなら怯える峰田が今回は勝ち筋があるのか強気に出た。
「八木!いいのか!?そのまま動いたらスパッツ履いてたとしてもスカートの中丸見えだぜ!?ハラチラしてんのも忘れんなよ!?」
そう峰田は看破していたのだ。
今の格好にものすごい羞恥心を持っていることに。
指摘されより意識してしまい、凛は動かなくなってしまった。
「くっ…後で覚えてとけ!」
「まぁ本戦まで時間空くし、張り詰めててもシンドイしさ…いいんじゃない!?やったろ!!」
「透ちゃん、好きね」
またもや葉隠や蛙吹を含むA組女子に絆され、凛は赤面しながらその後もしばらく着るはめになったのだった。
最終種目は、総勢17名からなるトーナメント形式の『バトル』だ。
早速くじ引きが始まると思いきや、尾白が手を挙げた。
「あの…!すみません。俺辞退します」
皆がざわめく中、尾白は騎馬戦の記憶が全くないことを申告した。
おそらく一緒に組んでいた、紫頭の男子生徒の個性が原因だと。
チャンスの場をフイにしたとしても、皆が力を出し合って来た中でわけのわからないままいることは、プライドが許さないと言った。
それに続き、青山、B組の庄田も自体を申告した。
見事、青い春が好きなミッドナイトの心に突き刺さりその申告は受け入れられた。
17名のトーナメントはシードを作って、1人だけに負担がかかって大変ということで、本来予定されていた16名のトーナメントにして、B組の鉄哲と塩崎が繰り上がって組み合わせが正式に発表された。
「初戦から厳しい試合になりそうだ…」
凛がそう呟いたのも無理はない。
彼女の初戦の相手は、轟だったのだ。
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