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スタートした瞬間、先行した轟が後続の妨害に足元を広範囲に凍らせた。
多くの者がそれによって、動けなくなる中、凛は武器を換装して地面に刺し凍るのを避けた。
「轟!甘いな!」
「そう上手くいかせねぇよ。半分野郎!」
凛だけではない。A組全員、そして他にも個性をうまく使い避けていった者がいた。
「クラス連中は当然として、思ったより避けられたな…」
轟は後続を確認し、そう呟いた。
「轟のウラのウラをかいてやったぜ。ざまあねぇってんだ!くらえ!オイラの必殺…」
峰田が轟に攻撃を仕掛けようとするが、何かに思いっきり吹っ飛ばされた。
『さぁいきなり障害物だ!まずは手始め…第一関門 ロボ・インフェルノ!!』
入試の時の0ポイント敵が大量に目の前を阻んでいたのだ。
せっかくならもっとすげぇの用意してもらいてぇもんだなと轟は思った。
「クソ親父が見てるんだから」
憎き父親に母の力だけで証明するために。
轟はロボを一気に凍らせた。
その隙間を縫うように走る彼に続き、多くの者が便乗しようとするが
「やめとけ。不安定な体勢ん時に凍らせたから…倒れるぞ」
それがまるで合図だったかのように、ロボが一斉に倒れた。
『1−A 轟!攻略と妨害を一度に!こいつぁシヴィー!!』
「私も遅れを取るわけにはいかないな」
そう言い、凛は大剣を換装した。
そしてそのままロボを一刀両断してしまったのだ。
『なんだあれはぁぁ!?1−A 八木!自分の何倍もあるロボをたった一本の剣で一刀両断だぁぁ!!もはや居合斬り!侍かぁぁ!?』
凛は、第一関門をいとも簡単に攻略したのだ。
オールマイトはその姿を見て、剣の腕が確実に前より洗練されてると感心した。
『オイオイ。第一関門チョロいってよ!んじゃ第二はどうさ!?落ちればアウト!それ構いなら這いずりな!ザ・フォール!!』
陸続きになっていない、円柱の地面がロープ一本で繋がっているだけのなかなか危険なコースだ。
素直に渡っていたらこのままだと一位は獲れないと判断した凛は、個性を発動した。
「換装!天輪の鎧」
天輪の鎧は翼が生えており、それで飛翔が可能なのだ。
凛はそのままロープなど無視する勢いで、飛んで第二関門を駆け抜けた。
「よし。爆豪と轟が見えて来た」
『そして早くも最終関門!かくしてその実体は…一面地雷原!怒りのアフガンだ!地雷の位置はよく見りゃわかる仕様になってんぞ!目と脚 酷使しろ!』
先頭ほど不利な障害に轟は苦戦するが
「はっはぁ!俺は関係ねー!!てめぇ宣戦布告する相手を間違えてんじゃねぇよ!」
爆豪は爆破の威力で地に足をつけずに移動していた。
このまま2人だけでトップ争いかと思われた瞬間
「それなら、私も関係ないな」
凛が2人から近いところで飛んでいるではないか。
「俺の先を行くんじゃねぇ!騎士女!」
『ここで先頭がかわったー!喜べマスメディア!おまえら好みの展開だぁぁ!!後続もスパートかけてきた!だが、引っ張り合いながらも…先頭3人がリードかあ!!?」
凛たちがお互いに妨害しながら団子状態で進んでいると
BOOOOM!!
突然、後方で大爆発が起こった。
『A組 緑谷!爆発で猛追ーーー…っつーか!抜いたあああああ!!』
「デクぁ!!!俺の前を行くんじゃねぇ!!」
「後ろ気にしてる場合じゃねぇ…!」
「このままのスピードで駆け抜ける!!」
『元・先頭の3人!足の引っ張り合いを止め緑谷を追う!』
緑谷に追いつき、そのまま追い越すと思われた次の瞬間、緑谷はそのまま手に持っていたロボの装甲を地雷の埋まっている地面に叩きつけた。
ボォォォン!!
『緑谷 間髪入れず後続妨害!!なんと地雷原クリア!イレイザーヘッドお前のクラスすげぇな!どういう教育してんだ!』
「俺は何もしてねぇよ。奴らが勝手に火ィつけあってんだろう」
プレゼントマイクから質問したのにも関わらず、相澤の言葉をスルーするように再びマイクを持つ。
『さぁさぁ序盤の展開から誰が予想できた!?今一番にスタジアムへ還ってきたその男ーーー…緑谷出久の存在を!!』
「ハハッ。緑谷やるな」
まさか個性を使わないで一位を獲るとは凛も思っておらず、思わず笑いがこぼれた。
「くっ…こんなハズじゃあ…!」
「一石二鳥よ。オイラ天才!」
「サイッテーですわ!」
峰田は個性で八百万のお尻にひっついて、便乗ゴールを決めたのだった。
「オイ、峰田。お前いい加減にしないか」
峰田は大量の冷や汗が垂れた。
凛の言葉はドスが効いていて、剣が突きつけられていたからだ。
この眼は本気の眼だと。
「すっすみませんでしたぁぁ!!」
峰田は命の危機を感じてすぐに八百万から離れた。
「凛さん助かりましたわ。ありがとうございます」
「いや、当然のことをしただけだ」
凛は、かけよって自身の手を握った八百万に気にするなと微笑んだ。
そうこうしている間に、第一種目の結果が出た。
凛は、緑谷、轟、爆豪に続く4位だった。
まだまだ優勝射程圏内と凛は、第二種目に臨んだのだった。
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