1-A控え室では、皆が体操服に着替え体育祭の開催まで待機していた。
体育祭では、他の科と公平を期すためにコスチュームは着用不可だった。

凛が轟の声がした方向を見ると、緑谷に話しかけているところだった。
彼が緑谷に話しかけてるとは珍しいなと思った。

「客観的に見ても、実力は俺の方が上だと思う」

思わぬ発言に凛は驚いた。
当事者の緑谷からしたらもっと驚いただろう。返答がどもっていた。

「おまえ、オールマイトに目ぇかけられてるよな。別にそこ詮索するつもりはねぇが…おまえには勝つぞ」

クラスでもトップクラスの実力を誇る轟の宣戦布告に控え室中がざわめいた。
切島が思わず仲裁に入ろうとしたが、轟は聞く耳を持たない。

「轟くんが何を思って僕に勝つって言ってんのか…はわからないけど…そりゃ君の方が上だよ…実力なんて大半の人に敵わないと思う…客観的に見ても…」

弱気な発言をする緑谷に凛は、緑谷が体育祭にいまいち乗り切れてないとオールマイトから聞いていたので、心配な目を向けた。

「でも…!皆…他の科の人も本気でトップを狙ってるんだ。僕だって…遅れを取るわけにはいかないんだ。僕も本気で獲りに行く!」

緑谷の表情に杞憂だったなと凛は安堵したが、一方で轟の暗い炎が前より深くなっている事が気になった。


―――


『雄英体育祭!ヒーローの卵たちが我こそはとシノギを削る年に一度の大バトル!どうせてめーらあれだろ。こいつらだろ!?敵の襲撃を受けたにも拘らず、鋼の精神で乗り越えた奇跡の新星!1年!!A組だろぉぉ!!?』

やはり噂のA組は注目らしく、大歓声の中凛たちは入場した。

その後も次々とクラスが発表され、開会式が整った。

1年ステージの主審のミッドナイトが早速、開会式の進行を行った。

「選手宣誓!選手代表!1−A 爆豪勝己!」

ヒーロー科入試1位の爆豪が選手宣誓を行うということで、同じクラスのA組はハラハラして見つめていた。
彼が普通に選手宣誓をするとは思えなかったからだ。

「せんせー。俺が一位になる」

「絶対やると思った!!」

切島が思わずツッコんだ。
当然、周りからはブーイングの嵐がわくわけなのだが、爆豪はそんなの気にしてないという風にさらに挑発した。

「せめて跳ねの良い踏み台になってくれ」

まるで自分を追い込むように言う爆豪に、私も負けてられないなと凛は笑みを浮かべた。

予選となる第一種目は『障害物競争』だ。
ルールは、スタジアムの外周の約4キロを走ること。コースさえ守れば何をしたって構わない。

そして、戦いの火蓋が切られた。

『スタート!!』

[ 21/79 ]

[*prev] [next#]
[mokuji]
[しおりを挟む]



人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -