「さて、ホームルームの本題だ…急で悪いが今日は君らに…学級委員を決めてもらう」

「「「学校っぽいの来たー!!」」」

相澤の発言にやはりヒーローを目指している者たち、ほとんどの者が、自分が自分がと立候補しだした。
「オイラのマニフェストは女子全員膝上30p!」と言った峰田は絶対学級委員にならせてはいけないと凛は強く誓った。

「静粛にしたまえ!多を牽引する責任重大な仕事だぞ…!『やりたい者』がやれるモノではないだろう!周囲からの信頼があってからこそ務まる聖務…!民主主義に則り真のリーダーを皆で決めると言うのなら…これは投票で決めるべき議案!」

しかし、そういう飯田も思いっきり手を挙げて立候補していたが。

「日も浅いのに信頼もクソもないわ。飯田ちゃん」
「そんなん皆自分に入れらぁ!」

蛙吹と切島の発言に飯田が、だからこそ複数票を獲った者こそが真にふさわしいのだと力説した。

そうして始まった学級委員の投票。
凛は最初から自分は学級委員という柄ではないなと考えていたので、あいつなら冷静に判断し皆をまとめて引っ張っていけるなと考え、その名前を投票用紙に書き込んだ。

結果的に、緑谷に3票、八百万に2票入っていて委員長と副委員長にそれぞれ決定した。

緑谷自身もかなり驚いていた。
よく周りを見てみると、お茶子がそっぽ向いて口笛吹いており、明らかに緑谷入れたとわかった。凛はお茶子はかわいいなと微笑ましく見ていた。

「はっ!俺に一票!?誰が!?」

緑谷に入れた飯田は、誰かが自分に入れてくれたことがすぐにわかり、驚いて周りを見渡した。


―――


用事があって遅れた凛は、先に食堂に行っている蛙吸たちに合流するために、探してみたが、とても広いためなかなか見つからない。

携帯で連絡を取るかとポケットに手を入れた次の瞬間

ウウー!!!

警報が鳴り響いた。

『セキュリティ3が突破されました。生徒の皆さんはすみやかに屋外へ避難してください』

セキュリティ3って校舎内に侵入したのかと気づいた凛は、とにかく落ち着いて外に避難しなければと出口に向かおうとした。

しかし、食堂内にいた生徒たちは警報でパニックに陥ってしまって、皆が押して倒れての相当危険な状況になっていた。

「全員危ないから落ち着いて!」

凛は周りに声をかけるが、彼女の声は届かない。

「全員落ち着…わっ!」

もう一度声をかけようとした時、とうとう周りの圧に押されて倒れそうになった。
しかし凛が倒れることはなかった。
ぐいっと上の方に引っ張り上げられ、そのまま比較的落ち着いている端の方まで連れて行かれた。
手の主を見てみると、轟だった。

「ありがとう。助かった」

「いや。怪我はねぇか」

轟の言葉に凛は、こくんと頷いた。

「ああ。大丈夫だ。それよりも避難しなくては」

轟がその場から動く様子を見せないことに疑問を持ったが、その疑問はすぐに解消されることになった。

「避難の必要はねぇ。見てみろ」

彼の指し示す所にいたのは、今朝いたマスコミだった。
敵じゃなくて安心もしたが、今はそれに伴いやるべきことがある。

「じゃあこの事を周りに伝えて、パニックを抑えなければ…!」

「皆さん…大丈ー夫!!」

凛が動くより先に、飯田が食堂の入り口に、非常口のマークと同じポーズで張り付いて周りに落ち着くように呼びかけた。

徐々に収束し始めた周りの様子を見て、もう大丈夫だなと凛は安堵した。

その後、この出来事を見ていた緑谷は委員長に飯田を指名して、1年A組の委員長は飯田になったのだった。

一方で、凛の頭の中には1つの疑問と不安が残った。
今回の事件、マスコミに雄英のセキュリティを破ることが可能なのか。何もなければいいがと。

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