入試当日

これから実技の試験が始まろうとしていた。
試験内容は、4種の仮想敵を倒してポイントを稼ぐ模擬市街地演習だ。
ただし、そのうちの1つの仮想敵はギミックであるため、0ポイントだった。

ガシャァァン!!

「ふぅ。これで40ポイントか」

凛は、個性である武器を次々と状況に合わせて換装し、順調にポイントを稼いでいた。

ドガァァァァン!!!

突然大きな音を轟かせて現れたのは、今まで相手していたものの何倍も大きな仮想敵だった。

あれがギミックというやつかと凛が思っていると

「いたっ!」

女の子が倒れていた。
彼女の他にも何人か恐怖ですくんでしまい逃げ遅れている者がいて、このままだと巻き込まれてしまうのは明白だった。

「おい!大丈夫か!」

黒髪の少年が倒れている少女を助け起こそうとしていた。
凛は、それに気がつきすぐに声をかけた。

「君!その子連れて早くここから離れろ!そのままあっちの方に避難誘導を頼む」

「え!?でもあんたは…」

少年はまさかと思い目を見開いた。

「大丈夫だ。ここから先には行かせない」

凛は、安心させるように笑った。
自分が尊敬するあのヒーローのように。

「換装!天輪の鎧」

凛は、全身に鎧をまとった。
その周りにはいくつもの剣が舞っていた。
彼女はそのまま飛行し、ギミックをそれ違いざまに一斉に斬りつけた。

「天輪・繚乱の剣!!」

ズゥゥゥゥン!!

彼女の攻撃になすすべもなく、ギミックは倒された。

こうして、彼女の試験は終了した。


―――


1週間後。
なぜか目の前のオールマイトがソワソワしていた。
いや、今に始まった事ではない。数日前からずっとソワソワしている。
凛は、最初尋ねても答えてくれなかったため、不思議に思いながらも特にツッコムことはしなくなった。

手紙が来ているかとポストを確認してみると、その中には雄英高校からの手紙が混じっていた。

とうとう試験結果が出たのかと、凛は早速自分の部屋に持ち帰り、手紙を開けた。

『私が投影された!!筆記は合格ライン!実技の方はぁぁぁ…すばらしい!敵ポイント40ポイント!そして最後に周りに呼びかけての的確な指示!ギミックに単身向かっていき、皆を護ろうとしたその姿勢!さすがは私の娘だ!審査制のレスキューポイント36ポイント!八木凛 76ポイント。合格だ!雄英が君のヒーローアカデミアだ!』

「凛ちゃん!おめでとうううう!!さすがは私の娘だ!」

見終わるや否や、オールマイトが凛に抱きついてきた。

「もうずっと言いたくて、言いたくて!」

あーだからずっとソワソワしてたのかと、凛は苦笑した。

「さぁ!ケーキも用意したし、早速お祝いだ!」

オールマイトは緑谷出久も合格したと教えてくれた。
オールマイトといつもより豪華で美味しい料理を味わいながら、凛はこれから始まる新生活に思いを馳せた。

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