―――マムシ工場


ここは、以前から黒い噂があり、真選組が目につけていた場所だった。

ガンッ!!

「はーい!危ないから下がりなさーい。この人のようになるよー。ポーカーフェイスを気取ってるが、ものっそい痛いんだよー恥ずかしいんだよー」

土方のおでこに爆発で飛んできた岩が思いっきり当たって、尋常じゃない血が流れ出た。

「エライことになってるなァ」

「土方さんもエライことになってます」

自身の状態を何もなかったかのように振る舞い、爆発を見ながら呟く土方に、凛は手当てをしながら土方に現状を見るよう促した。

「これ、山崎のヤロー死んだんじゃねーのか?」

「土方さん。今入ってきた情報なんですが、近藤さんの他に山崎さんと一般人が人質にとられているそうです」

「山崎1人なら見捨てよーかと思ったが、近藤さんと一般人がいたんじゃァそうもいかねーな」

凛は最新の情報を報告したが、土方は山崎にとって酷なことをさらっと言い放った。

「土方さん。俺、笛家に忘れたんでちょっと取りに帰ってきまさァ」

「ああ、二度と戻ってくるな」

沖田はめんどくさくなったのか、そう良いパトカーのドアを開けた。

「ったく、情けねぇ。もういい!俺と篠崎で行ってくるから、てめーらそこで待ってろ」

そう言い、土方が突入しようとすると、工場内から巨大な大筒が出てきた。噂の兵器らしく、見た目からしてかなりの威力がありそうだ。

「総悟。俺、分度器家に忘れたからちょっと取りに帰ってくる」

「土方さん。大丈夫でさァ。分度器ならここにあります」

土方と沖田のやりとりに凛は、数分前のの土方の言葉をボイスレコーダーに録音して聞かせてあげたいと軽く思った。

すると、首謀者マムシは自身の攘夷の理由について語り始めた。何とも身勝手な理由に凛は怒りを覚えた。

「腐った国でも、そこに暮らしてる人を忘れられては困ります。」

「革命は国に起こす前に自分に起こしたらどうだァ?その方が安上がりだぜ」

完全に逆上しているマムシは凛と土方の言葉に一切耳を貸さなかった。

「うるせェェ!てめーらに俺の気持ちがわかってたまるかァァ!」

止まらなさそうなマムシに攻撃体制に移ろうと土方は指示を出した。

「大筒用意」

その大筒が狙う先は土方の頭だった。

「いや、そこじゃなくて」

「ええ?!」

土方の言葉に沖田はわざとらしい驚きの声を上げた。

「なにびっくりしてんだ!こっちがびっくりだわ!」

「副長!あ、あれ!」

原田の言葉に、工場の方を見上げた。

近藤さん!山崎さん!え!なんで銀ちゃんもいるの?!と凛は人質にされた見覚えのありすぎる面々に困惑した。

「こいつらが、てめーらの仲間だってことは分かってる。俺たちを止めたくば、撃つがいい。こいつらも木っ端微塵だがな。ハハハハ」

マムシが高笑いをあげるのを無視するかのように、沖田は砲弾を放った。

「「総悟 / くんんんん?!!」」

容赦ない沖田の行動に土方と凛は驚きの声をあげた。

「昔 近藤さんがねェ。もし俺が捕まることがあったら、迷わず俺を撃てって…言ってたような言わなかったような」

「そんなアバウトな理由で撃ったんかい!」

沖田の理由が理由で土方は青筋を浮かべた。

しかし、沖田の容赦ない砲撃のおかげで近藤は頭に大きな傷を負いつつも記憶を取り戻し、山崎と記憶のない銀時とともに屋根から飛び降りた。それをチャンスと見て土方は砲撃発射の指示を出した。

それに反撃するために敵は兵器『マムシZ』を撃ち込んできた。それは想像以上の威力だった。

銀時と山崎を庇った近藤は意識を失い、銀時は縛られたままで身動きが取れないでいた。そんな彼の前に2人の人物が護るようにして立った。

「どうぞ撃ちたきゃ撃ってください。」

「江戸が焼けよーが、煮られよーが知ったこっちゃないネ」

「でもこの人だけは撃っちゃ困りますよ!」

新八と神楽である。

「な、なんで?!僕のことはもういいって!もう好きに生きていこうって言ったじゃないか!」

困惑する銀時に2人は足を振り上げ彼の頭を打ち付けた。

「言われなくてもなァこちとらとっくに好きに生きてんだヨ!」

「好きでここに来たんだよ!」

「「好きであんたといっしょにいんだよ!」」

2人の言葉に凛は笑って、土方たちと共に銀時の前に立った。

次の装填準備が整うまでが勝負と睨んだ凛たちは、全員で一斉に突撃を開始した。

「新八!木刀持ってきたろーな?」

「え、あ、はい!」

そう言い、新八から木刀を受け取り、誰よりも前に走るその後ろ姿は間違いなく、坂田銀時だった。

「工場長!すんませーん。今日で辞めさせてもらいまーす!」

銀時はそう高らかに宣言をして、マムシ砲を破壊した。

「けーるぞー」

銀時のだるそうに言うその姿に新八と神楽は本当に銀時が帰ってきたと喜び走り寄っていった。

その3人の後ろ姿に凛は世話がやけるんだからと呆れるようにして笑った。

「君は誰だ?」

近藤の言葉を聞こえないフリをして。

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