昼時、巡回を終えた凛は気分転換に街中の定食屋さんで昼食をとろうと、街に出た。

「凛姉!!!」

凛が呼ばれた方向に顔を向けると、万事屋一行がいた。

「こんにちは。神楽ちゃん、新八くん、銀ちゃん」

挨拶を終えた凛はすぐに違和感を覚えた。銀時がすぐに凛に話しかけてこなかったからだ。いつもならあんなに話しかけてくるのに…と思って見つめていると、また別の違和感を感じた。銀時の顔を見つめながら考え続けると、その原因を発見した。

「あ!眼が生きてるからね!」

凛は普通なら心の中に留めておくような、なかなか失礼なことを声に出して言い放った。


―――


「記憶喪失?!」

新八と神楽から説明されて、凛は驚愕する反面、納得もした。

「だから凛さんから、何か銀さんに昔話でも、聞かせてくれませんか?何か思い出すかもしれませんし」

「昔話…」

新八の頼みに、どのエピソードが良いだろうかと凛は頭を巡らせた。

「あの、こちらの綺麗な方は僕と一体どういう関係なんですか?」

「銀ちゃんの妹の凛姉ネ」

「妹?!僕に妹さんがいたんですね…凛さん…」

考え込んでいる女性と自身の関係が気になった銀時は尋ねて、自分に家族という存在がいることに驚いた。

「そういえば昔、銀ちゃんが気持ち良くしてやるって私の上に乗って」

ようやく、どのエピソードを話すか決めた凛は笑顔で話し出したが、その内容に神楽と新八は激怒し、何も覚えていない銀時を殴りまくった。

「妹相手に何やってんだァァァア!この天パ!」

「見損なったアル!このケダモノ!」

「ふ、2人とも!何に怒ってるの?私は他ただ、戦中に体が痛んで困った時に銀ちゃんがマッサージで痛みを和らげてくれたよねって話をしようとしただけで…」

2人の様子に、なぜ怒っているか分からない凛は困惑した表情で2人を止めた。総合して聞けば、兄妹の仲睦まじいエピソードなのだが、今回に関しては話す順番が悪かった。

「「え…」」

停止する2人をよそに、銀時は目を瞬いた。

「君たちは誰だ?」


―――


「力になれなくてごめんね。」

「大丈夫です。むしろありがとうございました」

凛の謝罪に対して、新八と神楽は口では大丈夫だと言うが、やはりどこか元気がなかった。

「大丈夫。銀ちゃんはちゃらんぽらんでも、必ず最後にはいつも帰って来たじゃない。銀ちゃんは私にとって家族だけど、2人にとっても家族でしょ?記憶なんてものじゃなくて、もっと根っこのところで繋がってるんだから。その絆を信じて。」

真っ直ぐ見つめてくる凛の励ましの言葉に2人は元気が出てきて、意気揚々とまた記憶探しに向かっていった。

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