「「何2人だけの世界作っとるんじゃーい!!!」」

2人の雰囲気を引き裂くように、銀時と神楽は桂の後頭部を飛び蹴りした。

「1ページ前 何あれ?後半俺たち完全空気だったよ?言ったよな?俺たちナイーブになってるって」
「後からのこのこやってきたくせに出しゃばるんじゃないアル。三下がぁぁぁあああ!」

怒りのままに桂にキレる銀時と神楽。
それに後頭部をさすりながら桂は言い返した。

「何をする。これから500ページは凛と俺の物語が綴られる予定なんだぞ。怪我をしたら大変だろう。」

「いや、こーちゃん。1章前の1ページ目を読んで来て。あなただけ参加している作品違うから。」

まるで準主人公かのように語る桂に不安になり、凛は思わずツッコンだ。

「ん?タイトルをよく見てみろ。『カツラコエ』と書いてあるではないか。』

「『カツラコエ』って何!?勝手に捏造すんな!」

桂がさも自分が正しいかのように語る姿に、新八はキレた。

「仕方ないだろう。読者が俺を求めてるのだから。」

「誰もてめーなんぞ求めてねーよ。てめーの出番はさっきの1ページでしめーだよ。早く家帰って攘夷でも所ジョー○でもしてろ。」

「○ジョージしてろって何」

「いや、さっきのページ1ページ未満しかなかったんだが…」

「ヅラの力なんて所詮その程度アル。現実見ろヨ。」

「ヅラじゃない。桂だ。」

銀時と桂がボケ倒しつつ言い合う中に、我慢ができずツッコミを入れた凛。そしてついに神楽までが参戦して収拾がつかなくなってきた。それを危惧した新八は話題を変えようと凛に話しかけた。

「そういえば凛さんって桂さんとも知り合いだったんですね。凛さんの前に桂さんが現れた時はヒヤッとしましたよ。敵対している組織なので。」

「ええ。真選組に入る前からの付き合いなの。私も銀ちゃんとこーちゃんと同じ寺子屋で育ったのよ。だからこーちゃんも銀ちゃんと同じで私のお兄ちゃんなの。」

凛の言葉に新八は納得した。桂の凛を見る目が銀時と似通っていたからだ。

「凛は俺たちの可愛い妹だからな。いくら組織が敵対してようと、それは変わらん。ほれ見てみろ。凛のブロマイドを。部下に撮らせたんだがよく撮れているだろう。」

桂はそう言い、懐から凛の写真を取り出した。
ただの写真ではない。きちんと傷防止や防水など加工されていた。
それを見た凛は刀を抜き、復元不可能まで切り刻んだ。

「あぁぁぁぁあああ!!!SSRの凛が!!!髪をまとめ直している姿は貴重なんだぞ!!!」

両膝をつきながら散って行く元ブロマイドに手を伸ばしながらこの世の終わりかのような顔で桂は訴えた。

「こーちゃん。いくら私が捕まえる気がないからって馬鹿やるならしょっ引くわよ。」

そんな桂に凛は冷めた目を向けた。
しかし、もう1人の兄 銀時は自身の懐から桂が持っていたものと似たブロマイドを取り出した。

「おい、ヅラそれまだあるか?さっきのは俺持ってないわ。俺の凛ブロマイドこんな感じなんだけど、どれかと交換しよーぜ。」

「妹萌えもここまで来ると気持ち悪いアル。ストーカーの域ネ。」

その男2人を見て、蔑む神楽。

「銀ちゃん?こーちゃん?」

2人はその声に振り返ることができなかった。今までの経験上から振り返ったら終わることを知っていたからだ。
しかし、その圧に耐えきれず2人はゆっくりと振り返った。

そこには笑顔の凛がいた。
だが、2人には笑顔など一切見えず、般若にしか見えなかった。

「「あぁぁぁぁぁあああああ!!!」」

男2人の断末魔が響き渡り、後には容赦無いまでに粉々になった紙類のような残骸が残されていたと言う…。


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