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その日の夜、土方はあの日のことを思い出していた。
そういえばあいつは引かなかったな…
―――
凛が真選組に入隊したばかりのある日。
「…これはなんですか?」
凛の目の前には、マヨネーズが大量にかけられた丼が用意されていた。
「土方スペシャルだ」
土方スペシャルを見続ける凛に、ああ。こいつもか。と引くと思い、土方は自分の丼を食べ始めた。
しかし、隣で箸を動かす音がして、見てみると凛が土方スペシャルを食べていたのだった。
「うぷっ…ごちそうさまでした。」
自分以外に完食する者が今までいなかった土方は眼を輝かせた。凛が気持ち悪そうにしてるのは彼には見えてない。
「まさか…お前もマヨラーなのか!?」
しかし、凛は即座に否定した。
「いえ、違います。マヨネーズは適量が好みです。ですが、せっかく副長が自身の好きなものを紹介してくれたんです。確かに普通なら拒絶されてしまう見た目です。でも、見た目で拒絶しても、何も知ることができないじゃないですか。こうやって少しずつ、私は副長のことを知っていきたいんです。」
そう言い、凛は柔らかく微笑んだ。
―――
そう言えばあの時のことも…
そう思いながら、土方は胸が暖かくなるのを感じたが、それに明確な答えを彼はまだつけない。
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