人形姫・14




あの日から、さらにカカシと名前は共にいる時間を大切にしようとしていた。

事情を知る紅とアスマは気を遣って、数日に渡る任務を引き受けてくれ、カカシは最低限の任務だけを遂行していた。
それでも、この任務の間に何かが起きて名前が戻されてしまっていたらどうしようと想像してしまい、帰宅して名前の姿を見ては安堵する、それを繰り返していた。

名前は名前で、アカデミーや任務受付所に顔を出して、お世話になった人達へ挨拶をしていた。
異世界から来たことは言えるわけもなく、実は他国の出身で、家族が病気になり自国に帰らなければならなくなったのだと嘘っぱちを言うしかなかった。
嘘を伝えるのは心苦しいが、下手に情報を流すことは聞いた当人の命が脅かされる可能性を高めてしまう。本当だと信じて貰えるように努めていた。
カカシとはどうするのか、と聞かれたりもしたが、彼が里を離れる訳にはいかないからと言えば悲しそうな顔をしていた。
カカシが任務に行っている間に挨拶を済ませ、名前は病院に向かっていた。綱手の弟子をしているサクラを休憩中に会いに行く。

「名前先生!ちょうど会いたかったんです!」
「え?私に?」
「はい、いのとヒナタと遊んだ時に、名前先生と女子会したいって盛り上がったんですよ!私、あと少しで仕事終わるので待ってて下さいね!」
「え!?今!?」

名前が呼び止めようとしたが、サクラも忍だ。既に影もなく、名前の声は虚空に響いて終わってしまった。






「ただーいま」
「戻ったか、カカシ」

カカシが玄関を開けて最初に顔を出したのは、パックンだった。名前は八忍犬とも仲が良く、再び交代制でカカシがいない時間を見張りしてもらうようにしていた。

「名前は?」
「奥で寝とるぞ」

パックンに言われた通り、リビングに行けばソファで名前が眠っていた。

「サクラ達に質問攻めをされて疲れたと、女子会ってやつらしい」
「そっか」

可愛い寝顔を見ていれば、起こすのも可哀想でカカシはソファに静かに凭れ掛かると名前の寝顔を眺めた。

「拙者は帰るぞ」
「パックンも寝顔見てけば」
「は?」
「可愛いよ」

名前から目を逸らさずカカシが言う。
マスク越しにも分かる優しい表情に、パックンは目を丸くした。

「カカシ、名前と出会って変わったな」
「……そうかもね」
「そんなカカシも良いと思うぞ」
「ハハ、ありがと」

部屋の隅で煙が立つ音がした。その音で気付いたのか名前が目を覚ます。

「名前、おはよ」
「おはよ」

名前が伸ばした腕の中にカカシ自ら入って行く。名前はカカシの首に腕を回す。任務明けの汗の匂いがする。

「サクラと女子会したんだって?」
「うん、どうしたら彼氏出来るかって質問攻めだったよ」
「うんうん、あいつらも名前の可愛い所を見習って欲しいよ」
「そんな所、私にはないよ」
「本当に分かってないね、どーも」

ほら、ここも。ここもね、ここだって。そう囁きながら、カカシは名前の肌に鼻先を滑らせる。擽ったくて、名前はクスクスと笑い声をあげた。

「ほら、分かる?」
「ンフフ、分かんない」
「もう、名前はおバカさんだねぇ。俺が丁寧に教えてあげようか」

カカシの指先が名前のシャツのボタンを外す。プツリ、プツリと外されて行く。無邪気に笑っていた名前の顔が赤く染まり始めた。

「恥ずかしいなら止める?」

バカなのは自分だ。名前が嫌々と言う訳がないのは知っているし、嫌だと言われても自分を止められる訳もない。
全てのボタンを解放し、インナーのキャミソールの上から柔らかさを確かめるように手で丸く包み込んだ。

「カカシ」
「どうしたの?名前」

カカシの体の奥は、焚き付けられたように熱い。名前から期待する言葉はただひとつ。彼女なら必ず言ってくれる。

「嫌だった?」
「ううん、カカシ……」

名前の唇が何かを伝えようと動く。カカシは急かすように唇の端にキスをする。

「あの、ね、止めないで……」
「続けて欲しい?」
「……つづけて、ほしい」

ほらね、カカシは期待通りの言葉に満足気に微笑んだ。
カカシはキャミソールをたくしあげ、その下のレースから膨らみを零した。隠れていた薄紅色の突起が露わになる。

「名前の可愛い所、いっぱい可愛がってあげるよ」

月はまだ細く、その光は弱い。カカシは気付かない振りをしながら、自らのシャツを脱ぎ捨てた。




ー58ー

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