▼ 022

敗戦における3か条

一つ、デービーバックファイトによって奪われた仲間・印全てのものはデービーバックファイトによる奪回の他認められない
一つ、勝者に選ばれ引き渡された者は速やかに敵船の船長に忠誠を誓うものとする
一つ、奪われた印は二度とかかげる事を許されない

以上、これを守れなかった者を海賊の恥としデービー・ジョーンズのロッカーに捧げる。



それを聞かされた私とナミは肩を落とした。もしかすると仲間を失うかもしれないのに、そう考えるとまたため息が出た。勝たなければならないとは言ったけど、すぐに気持ちは切り替えられない。

「あんた達、なんで平然としてられるわけ?」
「そうだよ、戦いたくない。」
「おめェらまだウジウジ言ってんのか。」

冷たく言うゾロを無視した私とナミはぶすっと不貞腐れた。

「デービー・ジョーンズって誰だ?」
「悪魔に呪われて深い海底に今も生きているという昔の海賊よ。」
「海の底で生きてるのか?」
「そういう伝説……海底に沈んだ船や財宝は全て甲板長だった彼のロッカーにしまわれるの。」
「海底って怖いんだな!」

ロビンとチョッパーの会話を聞いて、昔お母さんから聞いたデービー・ジョーンズの話を思い出す。ただの怖い話だと思ってたけどもしかすれば実在するかもしれないな。
沈んで来るもの何でも自分のものにしてしまうデービーの名前から、敵が欲しいものを奪う事を海賊達はデービーバックと呼ぶと、言っていた気がする。

「おい!オーソドックスルールはわかるな!?おめェら!出場者は3ゲームで7人以下!一人につき出場は一回まで、一度決めた出場者に変更はなしだ!」
「わかってる、あっち行ってろ!」

きちんとルールを説明してくれる限り、悪い人ではないのかも。でも、デービーバックファイトをする時点で卑怯なのか。

「まったく!!」
「えらい事してくれたわね、ルフィ!」
「勝ちゃいいじゃねェか!」
「でも、勝てば船大工貰えるかも知れないね!」
「アミ何言ってんだ!いらねェよ!あんな海賊団からっ!」

ウソップに怒られてしまったが、可能性は無くはないと思う。もしかすればいい船大工がいるかもしれないのに。

「勝負種目はレース・球技・戦闘か。」

7人以下、ということで1人余ってしまう。ここは平等にくじ引きをすることになった。どうか、1つだけの当たりが出ますように。

「これで決定ね、提出するわよ。」

決まってしまった。結局当たりを引いたのはチョッパーで、他の全員はどれかの種目に出ることになる。

第一回戦『ドーナツレース』
出場者 ウソップ・ナミ・ロビン

第二回戦『グロッキーリング』
出場者 ゾロ サンジ アミ

第三回戦 『コンバット』
出場者 ルフィ

ゾロとサンジがいるから少しは気が楽だけど、やっぱり出たくなかったのが本音だ。出場者が決まって数分後、もう第一回戦が始まろうとしていた。

「ナミー!ロビンー!ウソップー!」
「勝てよ〜!おめェら〜!」

両チームに歓声が上がる中、不安そうな表情のウソップとナミ。ロビンはいつもと変わらない。

第一回戦は海岸づたいの島一周妨害ボートレース。妨害有りのなんでもありなレースだ。だからスタートした瞬間に島からナミ達へ妨害が始まった。

「ルフィっ、あの人達止めないと!」
「アミはここで待っとけよ!?絶対に動くな!」
「わかったから!はやく!」

妨害をするフォクシー海賊団達を阻止するために私以外はみんな行ってしまった。ただ、私は祈ることしかできない。

「おい、移動するぞ。」

こそこそと、フォクシー海賊団船長のフォクシーと、ハンバーグがどこかに移動して行くのが見えた。なんだかとても怪しい。そう思ってゆっくりと後を追いかけた。

「悪い事、考えたぜ」

とてつもなく悪い顔をするフォクシーを見てられなくて前に飛び出した。ナミ達へは何もさせない、そう強く思いながら通せんぼする。

「麦わらの一味の女か……邪魔だ!」
「絶対に動かない!!!」
「仕方ねェ………ノロノロビーム!!」

何かのビームを撃たれて思わず目を閉じた。なにが起こったのかわからない、目を開けようとしてもゆっくりで、なにがなんだか。やっと動けたと思ったら目の前からフォクシー達は消えていた。よくわからないけど、このビームをナミ達に撃たれたらまずい。急いでゴールの方へ向かった。

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