▼ 008

一味はクロコダイルの居城であるカジノ“レインベース”に到着した。途中でビビの代わりとなってクロコダイルに捕まったルフィの無事を祈りながら、アミはビビを守るためにB・W(バロックワークス)と戦う。ナミと共にアミは“トゲトゲの実”の能力者ミス・D・F(ダブルフィンガー)に猛襲されるも、アミの能力とナミの新しい武器によって撃破。

「はぁはぁ……、」

息をあげながら、アミはナミを幸運にした見返りの不運に耐えながら考えていた。人を助けるだけで、自分はなにもしていない。しかも自分が不運になってまた誰かに助けてもらう。そんな自分の能力に嫌気がさしていた。

「………どうして私はこんなに…、」


―――弱いんだろう。


「え?なにか言った?」
「ううん、」

不思議な表情のナミに、アミはただ首を振るだけだった。そして二人は傷を癒すもまもなく、“約束の地”アルバーナ宮殿へと向かう。ビビを救い、ついにアルバーナの地に立ったルフィにアミは安堵の息をもらす。

「終わりにするぞ!全部!!」

集結した仲間にルフィは誓う。クロコダイルとルフィが戦う中、一味達は砲弾を探して群衆の中を奔走していた。クロコダイルが仕掛けた特殊砲弾は、爆発してしまえばアルバーナの全ての命が失われてしまう。時間はもう、わずかしか残されていなかった。アミはポケットからトランプを取り出すと、なにかを唱えた。

「Fate Gathers」

トランプが真っ赤に光ると、アミは大声でウソップを呼んだ。ウソップは“赤蛇星”で仲間達を呼び寄せる。砲撃まで残り30秒。ナミが一計を案じる。アミに頬へとキスをもらったビビはチョッパーに跨る。そして仲間達がビビをアミが占いで導き出した爆弾がある時計台の上へと飛ばした。

だが、砲弾は時限式でこのままだと爆発してしまう。そこに駆け付けたのはアラバスタ王国護衛隊副官トリトリの実の能力者のペルだった。ペルはハヤブサに姿を変えて、上空へと飛んでいく。ビビやアミ達は驚いて空を仰いだ。

ドォン!!!

爆風がアミ達を襲う、未来を占う占いとビビに使った能力の報いでアミは吹っ飛ばされ、建物へと突っ込んだ。手や足が切れ、血が溢れていた。

「こんなに能力を使ったのは………久しぶり」

傷口をおさえるアミの耳にビビの声が聞こえてきた。

「戦いを!やめて下さい!!」

何度も何度も聞こえてくるビビの声。なんとしても反乱軍と国王軍の戦いを止めなければいけないのだ。

「戦いを!!!やめて下さい!!!!」

ペルが死んで悲しいはずなのに、国のため国民のために叫び続けるビビの声は聞こえていない。アミの耳に響く声がもうひとつ。建物が崩れる音、ルフィの叫び声。それでわかった、ルフィは勝ったんだ。一味は緊張感が途切れ、路地裏でそのまま倒れこんでしまう。

「この戦争の上に立ち!生きてみせよ!!」

国王の声が聞こえたかと思うと、一味と同様にアミはその場で意識を失ってしまった。

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