066
「シュロロロ…待たせたなヴェルゴ」
少しの時間が経ったあと、シーザーがやってきた。
「問題ない。コーヒーとクッキーをいただいていた…変だなクッキーがないぞ」
ゴクンッ、クッキーと聞いただけでよだれが出てきて、スモーカーさんに思いっきり殴られてしまった。
「クッキーは出していないわよ」 「そうだクッキーはいただいてなかった。実験はいつ始まるんだ?シーザー」 「直だ…モネ!映像を出せ!」 「はい」
バサッと翼を羽ばたかせて動くモネさんの羽はよく手入れされている。羽を持っているからわかるけど、結構絡まったりするから手入れが必要なんだ。トリートメントとかね。
「しかしてめェんとこの部下くらいしっかり止めといて欲しいもんだヴェルゴ。スモーカーやクミがここへ来た時ゃ冷や汗をかいた」 「ああ…野犬と野鳥なんだ…手に負えない」 「だがそれも今日までの話!!お前もいいザマだ…ロー……シュロロロ!ヴェルゴには手も足も出なかったんじゃねェかァ!?お前との契約が役に立った様だ…」
モネの心臓をもつ代わりに、自分の心臓を渡すという無茶な契約をしていたらしいローさんは少しだけ悔しそうな顔をしていた。無表情には変わりないけど。
「やはり人は信用するものじゃない。自業自得というやつだ。身をもってわかったハズだがお前の心臓はヴェルゴが持ってる」 「うわァっ!!!」 「え!!?」
ヴェルゴさんに心臓を握られ、苦しい悲鳴をあげるローさんをみているだけで心臓が痛んできた。
「さすがのお前でも気づき様がなかったろうがモネが気を利かし姿を変えて尾行していた…話は筒抜けだ!!おれは残念だぞロー…せっかくいい友人になれたと思っていたのに!!」
シーザーの言葉に少し怒りながら息を整えるローさんはゆっくりと口を開いた。
「優秀な秘書に救われたな…もっとモネを警戒しておくべきだった。マスターがあんまりマヌケなんでナメきってたよ」
そのローさんの言葉に怒り狂ったシーザーは思いっきり心臓を殴る。
「うァア!!!」 「口を慎め小僧がァ!!!」 「………く…!!!」 「お前すげェな!心臓取られて生きてんのか!?」 「いや、そこじゃないでしょルフィ。もうちょっと心配とか……」
ルフィになにを言っても無駄だということは知ってるけど、苦しむローさんを見ていたら言うしかなかった。案の定聞いてないんだけど。
「てめェの能力を利用されてちゃ世話ねェなーーーじゃあおれのはどこにある」 「シュロロロ…こ〜〜こ〜〜だ〜〜よォ〜〜〜!!ス〜ゥモ〜〜〜……」 「マスター映像の準備ができました」 「そうか……よし!映せ!!」
スモーカーさんの心臓を持ちながらニヤニヤしていたシーザーは急いで映像の前に立つ。
「ここは氷の土地中央部だ…!!」
その映像には吹雪く土地の真ん中に大きな飴があるという場面が映し出された。
その飴の近くにあの紫色の巨大なスライムが現れたかと思うと、飲み込んでしまった。スライムは奇妙な動きをしたあと、ガスに変わりドンドン広がっていく。もちろん、麦わらの一味や私の部下たちのところにまで。
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