055


「えへへ」
「女だと思ってバカにすると許しません!」
「黙れたしぎ、尋問中だ」


二年前は結んでいた髪も、少し伸びて降ろしているクミは少しだけ大人びてみえた。
フォークとナイフを両手に持ち、レアで焼かれたステーキを頬張るクミは黙ってスモーカーを見つめる。


「スモーカーさん!」
「なるほど…海底の海賊ホーディ・ジョーンズに全員捕まってたのか。ここ一ヶ月ルーキー共が誰も魚人島を通過できなかったわけだ」


スモーカーは海底から飛び出した海賊達を捕えては、尋問をしている。
みな、魚人島から出てきた海賊達だった。


「それで今、海賊共がゴキブリのように何隻もはい出てきやがるんだな」
「スモーカーさん、ご飯中ですよ」
「黙れ、今食うな!!」


クミはそっぽ向いて、またステーキを口へと運ぶ。


「捕まってた!?違う!奴隷だったんだ、だが内乱を起こしたホーディの一味をある海賊団が倒し、おれ達を解放してくれたんだ。名前は言わねェがな!恩義がある」
「アホー!言っちまえよ!こいつらただの海兵じゃねェ!G−5だぞ」


黙った海賊を、その味方の海賊が止める。
海軍G-5支部は新世界に所在する支部で、本部の命令も聞かず、海賊を無慈悲に扱う無法者集団として知られている。
だから、海賊達も恐れていた。


「海賊の体に針を突き刺してサメ釣りするとか」
「海賊燃やしてキャンプファイヤーとか!」
「ご飯中だって言ってるでしょ!!」
「クミ中将ー!今日も可愛いぜー!!」
「クミ中将!クミ中将!!」
「ぽっ!!」
「お前もなに照れてるんだ…、」


少し頬を染めたクミをみて、スモーカーは呆れたように言った。


「スモーカー中将!あいつもらっていいか?ゲヘヘヘヘ…」
「ギャー!ちょっと…やめろ!言うよ!名前!助けて!」


海賊は脅えて震えている。


「む、麦わらの一味だよォ!!」
「わかってるよ、バカ」


クミのステーキの食べる手が止まり、なにか考えことをしているようだった。



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