042

「ネオ海軍…、Z…、元海軍大将…」

クザンさんに、今誰を追っていて、なにが起きているのか聞いた。元海軍大将の"黒腕のゼファー"エンドポイントを破壊して、新世界の海を壊そうとしているらしい。

「そんなことが………」
「クミちゃんは、知らないんだっけ?」
「…はい」
「そうか…」
「…、海軍には、戻らないんですか…」
「わからない、が、戻らないだろうね」

クザンさんが海軍をやめた、それだけで私はは海兵でいるのが楽しくなくなった。

「クミちゃんが、海軍大将になるんじゃないかな」
「え、ないですよそれは」
「おれは、あると思うな」

クザンさんは優しく微笑んでくれた。

「よし、温泉行くか」
「…、温泉ですか」
「もちろん、混浴ね」

クザンさんの頭を思いっきり叩いた。

「強烈だね…、」
「いやですよ、混浴」
「でも、思わぬ人物と会えるかもよ?」
「…、思わぬ人物…?」

クザンさんは笑うだけで、誰かは教えてくれなかった。









+ 









「ホ、ホントに…混浴するんですか…?」
「当たり前」
「…、その人物がいなかったら…わかってますよね?」
「怖い怖い」

タオルをぐるぐる巻きにして、温泉に入る。思っていたのよりも広く、綺麗だった。

「そそるね」
「っ!!」

クザンさんを殴ろうと思って、体を見た。右肩に広がる、火傷の跡。

「それ…」
「これも、やんちゃした傷だ」
「…、」

火傷の跡にそっと触れる。痛々しいその傷は、ものすごい戦いだったことを証明している。もっと、力になりたかった。

「クミちゃん、浸かろう」
「…、はい」

大きな大浴場。足を入れると心地いい暖かさだった。大きなお風呂が階段のように重なっている、この温泉。覗かないと、下のお風呂が見えない。

「熱いです…、まだですか…?その人物」
「まだみたいだな」
「うー…」

能力者関係なく、ふつうにのぼせそうだ。あれからかれこれ1時間は経っていた。

「うわー!ここも広ェ!!」

誰かが入ってきたみたいだ。この声…、聞いたことがある。

「ヨホホホ、落ち着きますねー。」
「あいつの、カッチョごつい右腕の武器に見とれて、油断しちまった」

クザンさんの顔を見る。この人たちみたいだ、待っていた人物。今すぐにでも飛び出して、抱き着きたいけど…、真剣なクザンさんを見て、堪えた。

「お前が能力者である以上、考えなしに突っ込んでいったって、また海楼石の爪につかまれて、チカラが抜けちまうのがオチだ。おれに任せとけ」
「お前らは手を出さねェでくれ。あいつは、おれがぶっ飛ばしてェんだ!次は、あの右腕を避けて、おれの攻撃をブチこむ!」

2年間、会っていなかったルフィ。その愛しい声も、少し大人びた気がする。

「相変わらず元気がいいな。おれ達はお前たちを待って、のぼせ気味だぜ」

私はクザンさんの背に隠れる。ルフィを、麦わらの一味の人たちを脅かしたい。その私の気持ちをわかってか、クザンさんは言わなかった。

「うっぉあ!!」
「おおおっ!!」

ルフィ達は驚きのあまり、足を滑らせたのか、一段低くなったところにある湯船に転がり落ちる音がした。

「あっ…、」
「"青雉"ッ!」

その名を叫び、ルフィとロロノア・ゾロとサンジが身構えた。

「みなさん?なにを慌ててるんですか。この方は、どちら様…?」

ブルックが首をひねった。ここにいるのはこの4人みたいだ。

「海兵だ。」
「海軍本部大将・青雉……!」
「大将〜〜〜〜!?」

ブルックは骨がバラバラになる勢いで驚くと、慌てて身をひいた。

「よっ、久しぶりだな」

クザンさんは片手をあげて挨拶した。

「大将さんが…わたし達に、なんの用ですか?」
「まーまー、いきなり立つなよ」

クザンさんは臨戦態勢の一味をなだめた。

「今さら、お前達をお縄になんてことはしねェ。おれはもう海軍辞めてんだ。知ってんだろ…?おれはもう海軍の大将じゃないのよ」
「じゃあ…あなたは、なんなんですか?」
「なにって?」

クザンさんはブルックを見た。

「ガイコツに何様といわれたかねェが…大将を辞めたおれは、ねェ…正義の味方、って違うな。お前ら知ってるか?」
「知るか!」

笑いそうになったのを必死で堪える。

「まぁ、でも、天使の恋人候補ではあるな」

それって…、もしかして…。

「クミのことか?」
「ああ、そうだな」

クザンさんの背中を思いっきり殴った。ルフィの前でなに言ってるんだこの人。

「クミはおれの女だ、手出すな」
「怖い怖い、そういうわけで。今はお前達とことをかまえる気はないんだわ。考えてみろ…そのつもりなら、能力がつかえなくなる海水風呂なんかで待ってないでしょ。ふぅー」
「おれ達を待っていた…?」

クザンさんが私の手を握った。まさか、と思った瞬間、ぐっと引き寄せられた。

「まぁ、これ以上のぼせたくないんで……あとの話は外でしますか、ね、クミちゃん」

クザンさんは私を立たせた。幸い、体に巻いていたタオルは取れなかった。

「クミ……?」
「クミちゃん!なんて綺麗なんだ」

なんだ、これ、恥ずかしい。ここにいる全員が私を見つめたいた。顔や身体が熱くなって、クザンさんに助けを求める。

「ク、クザンさん…!!」

クザンさんは立ち上がり、氷で義足を作り上げた。

「彼氏と話しなよ。」

クザンさんは彼氏を強調して言った。私を置いて、クザンさんはお風呂場から出て行く。それに続いてロロノア・ゾロもサンジもブルックも出て行った。




prevnext

×
- ナノ -