※現パロ
髪を撫でられ後ろから抱きしめられる。ソファに座る彼の顎が下に座る私の頭に乗せられて痛い。ゆったりとテレビを見ていたのに、ベッタリとくっついてくるサボを無視しようとした私がバカだった。
「痛いよー!」
「無視するからだろ?」
「だって今いいとこなんだもん。」
「マツジュ◯よりおれを見ろ。」
「かっこいいもーん、マツ◯ン」
テレビに映る有名な彼にまで嫉妬してくれるサボに愛されてるなぁ、なんて自惚れる。抱きしめられる力が強くなって少し苦しい。
「苦しい!」
「こっち向けって」
「やだァー。」
首を横に振っているのに、頭を掴まれて無理矢理サボのほうを向かせられた。ニヤリと笑うサボはムカつくけどイケメンなんだ。
「顔赤いなァ?」
「…っるさい。」
「照れちゃって、可愛い奴」
「サボのバカぁ!」
顔をそらしたいのに固定されているから出来なくて、恥ずかしくて泣きそうだ。テレビからはマ◯ジュンの声だけが聞こえてくる。
「あっ、泣くなよ?」
「泣かないよ、だから離して。」
「おれはお前を見たいから離さない。」
「もう………やだ…!」
「なまえ、拗ねんなよ」
「拗ねてないっ!」
こんなに近くで照れることを言うもんだから私の顔はものすごく熱い。きっと真っ赤なんだろう。そんな私を楽しそうに見つめるサボは本当に意地悪だ。どこが好きかって聞かれれば全部と答えるくらいだからきっとこんな意地悪なサボも好きなんだと思う。惚れた弱みというもので、許してしまっている自分がいた。
「キスして。」
「急に素直だな?」
「いいから。」
目を閉じずにサボの瞳を見つめる。もうこうなったら今日はとことん甘えてやろう。甘えないからきっとサボは意地悪してくるんだ。
「そんなにしたいならなまえからしろよ」
「ど、どうしてそんなに意地悪なの?」
「そういう顔が見たいから。」
頬を両手でゆっくりと撫でられる。どういう顔をしているのかわからない限り、今日はもう優しくしてくれないと思う。
「ほら、しろよ」
「優しくしてくれるまでしない!」
「そっか、じゃあ仕方ねェな。」
パッと離されて、サボはソファに深く座り込んでしまった。抱きしめられていた温もりが消えて、寂しい。テレビの◯ツジュンは優しい笑みを浮かべているのに全然きゅんとしなかった。いつもならきゅんとするのに。
「サボ………」
「ん、」
私もソファに腰掛けて彼の名前を呼んでも、視線はテレビに向けられている。見てもくれないのね。
「………………バカ。」
「くくっ、悪い!意地悪しすぎたな。」
横から抱きしめられて、今にも泣きそうな私はサボを抱きしめ返した。頬に優しくキスされて、名前を呼ばれる。
「ごめんな、キスしたかったよな。」
「意地悪しないで………」
「なまえが可愛い顔するから悪いんだけどな。よし、可愛がってやる。」
そう言ったあと、サボは噛み付くようにキスをしてきた。何度も何度も私がやめてって言うまでキスは止まらなかった。
「サボ、好き。」
「マツジュンより?」
「マツジュンも好き。」
「どっちかにしねェと怒るぞ?」
「じゃあ、マツ…んんっ」
マツジュンと言おうとすればまた唇を塞がれた。今度は私が意地悪しようと思ったのに口を塞がれればしようにも出来ない。
「バーカ。」
「サボ、大好き。」
いつの間にかテレビは消されていて、もう頭の中はサボでいっぱいだった。テレビの中の有名人よりも私はサボが一番大好きで、それを言えば当たり前だと笑った。
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