「ママァァァァ!!!」
泣きながら私に抱きついてくる息子の黒い髪を優しく撫でる。どうも臆病な性格は私に似てしまったみたい。彼みたいにたくましく育ってほしいなと思いつつこうやって抱きつかれると可愛くて頬が緩む。
「パパに会えるんだよ?」
「こわい………」
ぎゅーっと、小さい体の割りに力強く私の足にしがみついている。父親のルフィとはこの子は会っていないし子供がいることも知らない。もし、この子を連れて行くことを拒否されたら船からおりて育てていこうと決心した。
「大丈夫!ママが大好きなパパだから、きっと好きになるよ?」
「ボクとパパ…どっち…すき?」
「どっちもだーい好き!」
息子を抱っこして、頭を撫でる。すると天使のような可愛い笑顔を浮かべた。はやくサニー号に向かおう。飛ばされてから2年が経った今、やっと全員が揃う。
「ママァ!なでてー!」
「甘えん坊さんだね」
髪質や笑顔なんかはルフィそっくり。目は私だけど他のパーツはルフィで、まるでルフィの幼少期に出会ったような感じ。
「あ、あれがママたちの船だよ」
「ラ、ライオンしゃん!!」
目をキラキラさせてサニーの船首を見つめている。抱きしめたくなるくらい可愛い。そんな息子を抱き上げてハシゴを登り、甲板に降り立った。
全員が揃い、再開に喜んでいると全員の目が私の息子に向けられた。私の背中で震えているけれど。
「ほら、挨拶は?」
「モンキー・D………」
そこまで言った瞬間、ルフィの顔が今まで見たことないほど綻んでいた。自分の息子だと気がついたらしい。
「なまえっ!!!」
「わぁっ!!!!」
ルフィに抱きつかれてそのまま甲板に倒れこむ。みんなの前で押し倒されて、あの綻んだ顔を私に向けられる。
「ありがとう!」
お礼を言われた。ああ、よかった。喜んでくれなかったらどうしようかと思った。
「マ、ママにさわるな!!」
「こら。会いたかったパパだよ?」
「パパ?」
「なんかおれの小さいころみてェだ。」
息子の頭を優しく撫でながら昔のことを思い出しているルフィ。息子は涙を流して、パパと呼んでいる。不安だったのかな、パパが本当にいるのか。
「顔はほとんどルフィなのに性格は可愛いわねぇ」
ナミも息子の頭を撫でる。するとその小さな体はルフィの後ろに逃げた。
「大丈夫だ、パパの信頼する仲間だぞ?なにもしねェよ」
「ほんと?パパのともだち?」
「おう。あのタヌキもロボも骸骨もみんな仲間だ。」
なんか、ちゃんとしたお父さんって感じがして涙腺が緩む。息子はロボをみて目を輝かせている。大人になったら、ルフィみたいな立派な人になるのかな。
「お前らを絶対幸せにするからな!」
私と息子をぎゅうっと抱きしめてルフィはそういった。私の涙腺も限界で涙が落ちる。
「パパ!ママがないてる!!」
「なまえ!?どうした?」
二人とも焦ったように私をみる。こんな光景ですらも、幸せだなと思ってしまった。
「大好きだよ。」
「ボクもすき!!」
いつまでもこんな日々が続いてほしい、そう願いを込めて二人の頬にキスをした。どうか、お願いします。
「あの、家族団欒のとこ悪いんだけど、そろそろ出港していいかしら?」
照れたように笑ってルフィは息子を抱えて立ち上がった。これから先たくさんの危険が待ち受けるこの海で私は死んでも息子を守ってみせる。
「しゅっこぉ!!!!!」
息子の大きな声を合図にサニー号はゆっくり動き始める。ルフィと笑い合う二人をみてまた泣けてきてしまったのは秘密。
back