気がつけば部屋も二人部屋になってたし、寝ている間に指輪も付けられていた。
ルフィに「おれと結婚してくれ」と言われ驚いて頷いたことからこんなことになってしまった。まさかルフィから結婚という言葉が出てくるとは思ってなくて、いつかはすると思ってたけど海賊をしているうちは無いと勝手に思い込んでた。
「おはよ。」
「あ、うん…………これ。」
朝起きたらルフィの顔が目の前にあって、左手の薬指には輝く指輪があって、もう頭の中はパニック状態。法律上ではまだでも事実上は夫婦になってしまった私たち。
「この前の島で買ったんだ。気に入ったか?」
「そうだったの………ありがとう」
そういえば、ずっとルフィはお小遣いを貯めていたとナミが言っていた。このためだったのね。ビックリしすぎて実感がわかない。
「なまえ?」
「ごめん、私なにもしてない。」
「こういうのは男がするもんだってサンジが言ってたから心配すんな。」
ルフィと夫婦っていうのも本当に実感がわかない。この部屋から一歩外に出れば、冒険だァ!なんて子供っぽいこと言うのに、おやすみのキスをしたりそれ以上の行為もしばしば。私は妻らしいことをしているんだろうか。
「ホントに私でよかったの?」
「は、なに言ってんだ。」
「結婚したらさ、家事をして夫の帰りを待って、おかえりなさいのキスをして、それが普通だと思ってたから。私なにもしてない。」
掃除はするけど料理はサンジの方が美味しいし、洗濯もロビンが能力を使って一気にやってくれる。夫婦ってなに。
「うーん、おれはよくわかんねェけど、ずっと一緒にいるのが夫婦なんじゃねェか?」
「ずっと、一緒に」
「そんなに悩むことねェよ、おれ達がやりたいようにやれば。」
ルフィはすごく頼もしい男だと思う。強いし大きいし、だから私は好きになった。そっか、そんなに深く考えることでもなかったのかな。
「おはようのキスは?」
「忘れてたな。」
ゆっくりと顔を引き寄せて、触れるだけのキスをした。これが私たちの形なんだ。
「今日はこの前買ったワンピースにする。」
「春島で買ってたやつか?」
「そう、ルフィが好きって言ってくれたもの。」
花柄の春らしいふんわりとしたワンピースをクローゼットから出す。ついでにルフィの服も出して、渡した。
「すっげェ似合う。」
「照れるなぁー、はやく着替えてご飯食べよう。たぶんみんな待ってるよ。」
「その前にもっかい。」
鏡で身だしなみを整えているのに引き寄せられてベットに押し倒された。何度もキスをされて、満足したのかパジャマを脱ぎ始めている。
「もう、髪の毛がグチャグチャになっちゃった。」
「あ、わりィ。」
「わざわざ押し倒さなくてもよかったのに。」
「その方がもえるだろ?」
「知らなーい。」
もう一度髪を整えてからルフィの着替えを待つ。このままずっとこんな朝が続いたらいい。ラブラブで倦怠期なんか無くて、ずっと愛し愛されたい。そんな夫婦でいたいな。
「なまえ。」
「ん?」
「結婚してくれてありがとな。」
ルフィは恥ずかしいことでもすぐにストレートに伝えてくる。それが照れくさいけど、嬉しい。
「私こそ、ありがとう!ルフィが旦那さんでよかった!」
「後悔させねェからな」
「後悔なんてしないと思うよ?」
もう一度キスしようとするルフィのパジャマを畳んで、クローゼットの中へ。避けられて悲しいのか、ぎゅっと抱きつかれた。
「はやく行かないと、また怒られるよ?」
「愛してる、なまえ。」
熱くなる体温でのぼせてしまいそうだ。耳元で呟かれた言葉のせいで心臓がうるさい。
「幸せだなぁ……」
「腹も減ったし、行くか。」
「うん!あ、私も愛してるよルフィ。」
そう言ってルフィの頬にキスをして二人部屋から出た。後から出てきたルフィの顔が赤く染まってたから面白くて笑ってしまった。夫婦になってこんな毎朝がすごく幸せだと感じる今日この頃。
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