「あ。鳥だ。」
「26羽目だね。」

気候も海も安定していて、平和すぎる今日。私とルフィはただひたすら鳥の数を数えていた。甲板に横になってもう1時間経っている。することもなく眠ることもない。

「うまそーだなァ」
「唐揚げにしてほしい。」
「おれは焼き鳥がいい。」
「とってきてよ。」
「えーーーーー。」

暑くもなく寒くもない。穏やかすぎる気候に、なにもやる気になれなかった。甲板には私たち2人しかいないけど、みんなはいったい何をしているんだろう。確かめに行く気はないけれど。

「あ、また。今度は……」
「5羽も飛んでる!31羽目だね。」
「そーだなー。」
「あ、ルフィ。喉乾いた。」
「ジャンケンだな。」
「私、パー出すからね。」

案の定、ルフィはチョキを出して私はグーを出した。ブーブー言われたけど勝ったものは勝った。ルフィをサンジがいるであろうキッチンに行かせた。

「なまえー、なにしてんだ。」
「んー?なにもしてないー。」

寝転んでる私を見下ろすウソップの両手にはなにかの機械が抱えられている。なにもしていない私を呆れた目で見ながら、隣に腰掛けた。

「なに作るの?」
「ナミとおれの武器の改良だ。」
「へー。頑張って。」
「ナマケモノかっ!!」

ツッコまれて、小さく笑ってしまった。本当に面白いよウソップ、そう褒めると照れたように頭をかいていた。それにしてもルフィ遅いなァ、喉乾いたなァ。

「平和すぎるっていうのも退屈だね。」
「そりゃあ贅沢だなァ。」
「いいことなんだけど、もう少しなにか起きてくれた方が。」
「ビビりのくせに?」
「ウソップに言われたくないね。」

ハハッと笑い合うこの空間がなんだか楽しい。ずっと続けとは思わないけど、たまにはこういう何もしない日っていうのもいいかもしれない。

「恋人同士ならこういう日こそ仲良くイチャつけばいいんじゃねェか?」
「こういう日だからこそ、そういうことはしないんだよ。」
「よくわかんねェな。」
「恋をしたことがないウソップにはわかりませんねー。」
「したことあるに決まってんだろ!!」

誰だっけカヤさんだっけ、と呟くと真っ赤な顔して顔を伏せた。わかりやすいなぁ、顔を伏せても寝転んでる私には丸見えなんだけどね。面白くてまた笑う。

「それに、ルフィとはあんまりそういうことしないしね。」
「ルフィらしいが、お前も大変だな。」
「そういうペースが好きなのよ。」
「ふーん。」

機械の音が聞こえる中、なんだか眠たくなってきた。ルフィ遅いよ、何やってるの。抱き枕がどこかに行かれちゃ困るんだよ。

「抱きしめていい?ウソップ」
「はァ?」
「いつもはルフィを抱きしめて寝てるんだけど、今飲み物取りに行ってるから。」
「後で殴られたくねェから、抱きつくな。」
「ちぇっ。」

仕方なく、また空を見上げて鳥を数えることにした。35羽目になったとき、やっとルフィが帰ってきた。その両手には飲み物はない。

「ルフィ?なにしにいったの?」
「なまえ。」

気がつけば私の顔の横にルフィの手がある。馬乗りにされていて、私よりウソップが焦っていた。こんな昼間から、しかも処女の私をどうしようって言うんだ。

「ナミが、今日くらい男になれってよ。」
「私はほのぼのとしていたかったんだけど。」
「とりあえず、ウソップどっか行け。」
「はいはい、わかりましたよー。」

ウソップは機械を両手に抱えてどこかに行ってしまった。うーん、困った。昼間からしかも甲板で初めてを失いたくない。

「ルフィ、本当に?」
「いや、今日はしねェけど。なまえに意識してもらわねェとな。」
「もうずっと、意識してるよ?」
「ああ、そうじゃねェと困る。おれ達付き合ってるからな。」
「じゃあ、どうして?」
「なにか起こってほしかったんだろ?」
「あー、聞いてたんだね。」

どうやら声が大きかったらしい。キッチンにいたサンジとナミとルフィには会話が筒抜けだった。

「ウソップに抱きつくな、おれにしとけ。」
「うん、そうする。」

寝る前のキスをして、私の上から隣に寝転んだルフィを抱きしめる。あー、やっぱり落ち着く。

「おやすみ、ルフィ。」
「おう、おやすみ。」
「明日はなにか冒険ができますように。」

そう言って2人とも目を閉じる。貴重な平和すぎる1日はいつもこんな感じで過ぎていく。この時間がたまらなく好きなんだ。

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