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「もうお前の男はやめさせてもらう」

静かに、低い色気のある声で彼は言った。

色んな男と遊んでる私が言うのも何だけど、こう言われると私が捨てられたみたいで嫌な気分だ。目の前の赤髪は真剣な表情で私を見つめる。

期待するような眼差し。私が縋り付くのを待っている。

「えええ〜!そんなのヤだよお!」

赤髪という男は、案外女らしい女が好きだ。ブリッコでも許されるし、そんな可愛らしい私が好きになったと言う。私はすがりつくようにシャンクスを抱きしめた。

「じゃあその前にお前今から男全員と別れてこい。」

あっちゃー。ばれてたか。というのが率直な感想だった。
シャンクスの船は乗り心地よかったんだけど。仕方ない、降りるか。次は誰にしようかな。と思考を巡らせる。
シャンクスは私よりもずっと年上のはずなのに、まるで子犬のような目をしていた。縋りつきたいのは、シャンクスだろうか。

「ごめんね、それはできないや!」

「◯◯の本命は誰だ」

「言えない」

シャンクスだよ、とはとても言えなかった。
傷ついたようなその顔は似合わないのに、私の前ではしてしまうのだから、良心が痛む。良心なんて、持ってはいけないものだけど。

「あなたが麦わら帽子をかぶったままなら、私は本当に好きになったのかもしれないな。」

小さく呟いた私の言葉は聞こえなかったようで、シャンクスは首を傾げた。私はその疑問に答える間もなく、手を上げる。

「じゃ、さよなら。」

「おいおい、はやいな。」

「名残惜しい?」

「そりゃそうさ、おれが惚れた女だ。」

笑っているけど、目は泣いてるよシャンクス。私を本当に愛してくれていたのは知ってる。
その本気さが、たまに私を傷つけていたとも知らずに。

「ありがとう。さようなら。」

「お前の荷物は……」

「好きにしてくれていいよ。」

シャンクスは無くなった左腕に触れて、私に微笑んだ。名残惜しい、止めたい、と表情でわかってしまう。
それでも私は罪悪感すら感じなくなっていた。最低な女なのに。弄んでいただけなのに。

「会いたくなったら会いに来ていいんだからな。」

「うーん、会いたくならないかな。」

次会ってしまったら、シャンクスに同情しちゃうでしょ?

私はシャンクスにニッコリと笑いかけると、消えた。消える前に、私に向かってくる右腕が見えたが私には届かない。



私は瞬間移動できる能力をもつ、悪魔の実の能力者だ。




(お前の物、捨てれるわけねェだろ)
(散々もてあそばれても、)
(おれはお前が好きだった)


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