「ルフィくん!起きて!」

ぐっすりと眠るルフィくんを揺さぶって起こすけど、一向に起きる気配がない。

「お弁当作ってあげないよ。」

そう言った瞬間、ピクッとルフィくんの体が反応した。そして真っ黒な瞳が私の姿を映した。

「んー……、メシ。」
「起きて、第一声がそれか!」

寝癖で跳ねた髪なんて気にせずに、椅子へと座ったルフィくんに、トーストと目玉焼きを差し出した。

「肉はねェのか?」
「朝からお肉なんてないよ。」
「えー。」
「その替わりお弁当にはいっぱいいれてあるから。」

そう言うと、ぱっと顔を明るくさせたルフィくんはトーストにかぶりついた。本当に美味しそうに食べるなー。作り甲斐がある。

「あ、もう行かないと。鍵、置いておくからね」
「おう!いってらっしゃい!」
「いってきます!」

“いってらっしゃい”久しぶりのその響きに、なんだか胸が弾んだ。
はやく帰って、いっぱい美味しいものを作ろう。思わず顔がニヤけてしまった。








「おはよう!」
「え、ルフィ!?」

なまえに作ってもらった弁当を持って、学校に行くとナミが驚いた顔をしておれを見た。

「なんだよ。」
「あんたが遅刻しないなんて……」
「今日は槍でも降るんじゃねェか?」

ナミとサンジの言葉にむっとしたおれは、ジロッと睨んだ。

「おれだって早起きくらいできる。」
「どうせエースさんに起こしてもらったんでしょ。」
「エースは今旅行中だ。」

そう言うと、さっきまで寝ていたゾロまでも驚きの声をあげた。なんだよ、みんな失敬だな。

「じゃ、じゃあ、どうやって……」
「おれ、同棲始めたんだ。」
「「ど、同棲!?」」

クラス中にナミとサンジの声が響いて、みんなの視線を浴びる。そんなの気にせずにおれはなまえの顔を思い出した。今頃なにしてるんだろう、はやく弁当食べてェな。

「彼女いたのか……?」
「彼女じゃねェよ。」
「じゃ、じゃあ………、」
「エースの友達の家だ。」

なーんだ男か。とサンジが呟いたのを見て、首を横に振った。

「レディなのか!?」
「おう!」

えー!!!!とサンジが叫んだのをみて、ナミがうるさいと鉄拳を落とす。

「歳は……?」

ナミが深刻な顔をしておれをみる。歳、聞いてねェけど、確か……、

「エースと一緒の歳だ。」
「だ、大学生!?」

なんでみんな驚いた顔すんだ。大学生がなんなんだ。そう考えながらずっと弁当のことを考える。はやく食いてェな。

「みてみたいわね。」
「大学生のレディと同棲なんて、クソ羨ましい。」
「妄想して鼻血でてんぞ、サンジ。」

ナミ、サンジ、ウソップの言葉におれはピーンッといいことを思いついてしまった。

「なまえが、家に呼んでいいって言ってたぞ。」
「なまえって名前なのか。」
「本当に言っていいの?」

ナミの言葉に大きく頷くと、ニヤニヤと笑う。これはなにか企んでる顔だ。


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