セミがうるさく鳴いている中、激しく照りつける日の光から逃げるように、急ぎ足で家へと向かった。エースからのメールによると、私の家の前で待っているらしい。

「……、はぁ、はぁ。」

運動をしていないせいか、すぐに息があがる。額からは汗がたれた。

「……はぁ、君が……ルフィくん?」

マンションの前には、高校生らしき男の子がいた。話かけると、下を向いていた顔がぱっと私へと向けられた。

「おう!お前がなまえか?」

うん、敬語ではないね。おかしいところはあるけれど、眩しい笑顔をみたらどうでもよくなって、私は笑顔で頷いた。

「一週間、よろしくな!」

やっぱりおかしい。私は年上なんだよ、と教えてあげたかったけれど、エースの弟だと思い出して言っても無駄だと思った。

「あちィし、はやく入ろう。」

我慢我慢、私はお姉さんなんだから。そう思って、マンションのオートロックを解いた。







「涼しいー」

ルフィくんは扇風機の前で、くつろいでいる。

「なんか、なまえの家は落ち着くなー。」
「そ、そうなの?」
「おう。」

スーパーで買ってきた大量の食材を冷蔵庫へと押し込むと、ルフィくんにアイスをあげた。

「暑かったでしょ?」
「ありがとな!なまえ!」

エースに似てる、引き込まれそうな真っ黒な瞳。一度目が合えば、離せない。

「ルフィくん、食べながらでもいいから聞いて?」
「おう!」

ルフィくんはじっと私を見つめながら、アイスを食べ進めている。なんか、かわいい。

「連絡先教えるから、友達とか呼ぶときは連絡して?」
「わかった」
「それと、私に遠慮しなくていいからね!」
「おう!しねェ!」

って、もうしてなかったか。アイスを食べ終えたルフィくんはテレビをつけて見始めた。なんだか家族が増えたみたいで、楽しいかも。








「できたよー。」

なまえの声が聞こえて、急いで隣の部屋のリビングへと移動する。うまそーな匂いがおれの鼻を刺激する。

「うまそー!!!」
「暑いから冷やし中華にしてみたんだけど……、好き?」

おれの様子を伺うみたいに、じっと見つめてくるなまえに、なんか変な気分になった。心臓を掴まれるみたいな……、変な気分だ。

「お、おう!なんでも好きだ!」
「よかった。じゃあ、食べようか。」

向かい合わせで椅子に座り、手を合わせていただきますと言ってから冷やし中華を口へと入れた。

「うっめー!!!」

ホントにうめェ。サンジの料理と同じくらいうめェぞ。

「ふふ、よかった。」
「おかわり!!」
「ってはや!」

なまえは苦笑いを浮かべながら、冷やし中華のおかわりをキッチンへと取りに行った。彼氏とかいんのかな、とか今まで考えたこともないようなことを考えながら冷やし中華を待った。


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