ぼくの友達
虹赤、火桃表記有り。




ぼくの友達を紹介します。

ぼくには、学校の友達以外にも友達がいます。
テツヤお父さんは、その友達はぼくの幼馴染みだと教えてくれました。

「シヅヤくん、シヅヤくん。どうかしたのですか?」
「さくらちゃん」

彼女は、お隣に住む火神さくらちゃんです。
ぼくより一つ歳が下の女の子です。

「シヅヤ、ボクはこのごほんをしょもうする」

彼は、さくらちゃんの家を挟んだ向こう隣に住む虹村真護くんです。
ぼくより二つ歳が下の男の子です。
女の子の恰好をしているのは真護くんに似合うからだと、真護くんのお父さんである征十郎君が言っていました。

「ダメだよ、まぁくん。シヅヤくんつかれちゃう」
「シヅヤ、つかれてるのか?」
「ぼくは大丈夫ですよ。少しぼーっとしてました」

学校以外では、ぼくはさくらちゃんと真護くんの三人で遊ぶのがいつもの'ニチジョウ'です。
学校の友達に学校が終わった後も遊ぼうと誘われるけど、いつも断ります。
何故なら、学校ではいつだって友達と遊べるけど、さくらちゃんと真護くんとは今しか遊べないからです。
学校の友達も大切だけど、ぼくにとって二人はもっと大切なのです。

「おちびさん達、そろそろ喉が渇かないかい?」

ぼくが二人に絵本を読んでいると、征十郎君がジュースのお誘いに来ました。
言われてみれば、喉が渇いたような気がします。

「せーくん!」
「せーちゃん!」
「おっと」

征十郎君の足にくっついて、喉が渇いたと口々に言うさくらちゃんと真護くんの頭を撫でます。
こうすると二人はどんなに騒いでいても、きちんとお話を聞いてくれるのです。

「さくらちゃん、真護くん、そんなにくっついたら征十郎君が動けません。こけちゃうと危ないから離れましょうね?」
「「はーい!」」

征十郎君にごめんなさいをする二人の頭を撫でてから、三人で手を洗った後に居間へと移動しました。
今日のおやつは、さくらちゃんの大好きなアップルジュースと林檎のパイだそうです。
敦君の手作りなんだそうです。
敦君の作るデザートはとても美味しいので楽しみです。

「さあ、召し上がれ」
「「「いただきます!」」」

切り分けられたパイとジュースを目の前に、ぼくたちは手を合わせて声を揃えます。
見てるだけで美味しそうなパイに、ぼくたちの目はそれはそれは輝いているのでしょう。
征十郎君がデジカメで写真をいっぱい撮っているのが何よりの証拠です。
きっとその写真はさくらちゃんの家族やぼくの家族だけでなく、テツヤお父さんが学生の頃の部活関係者にも配られるのでしょう。
そういえば、ぼくのクラスの担任の先生はテツヤお父さんと大我君の同級生にして征十郎君の親友だったみたいで、たまに学校でぼくの写真を撮っているのを見掛けます。
多分、テツヤお父さんか征十郎君に言われて撮っているのでしょう。
だってたまに謝られるんです。
先生に謝られるって不思議な感じです。
あと、征十郎君は親友を顎で使いすぎだと思います。

「征十郎君は、降旗先生を労るべきだと思います」
「うん?いきなりだね?」

善処するよ、と笑う征十郎君は多分降旗先生を労る気がないと思うので、今度ぼくが労ろうと思いました。
あと、敦君の林檎のパイはやっぱりとても美味しかったです。


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