カツ カツ カツ カツ!

・・・バンッ!

「おい、コムイ!!
 どーなってんだよ!!!
 最近ハズレばっかじゃねェか!!!!」


エクソシストの神田ユウが大層ご立腹な様子で指令室へ入ってきた。

どうやら最近はイノセンスとは無関係の任務ばかりだったらしい。

乱暴に報告書をコムイのデスクへ叩きつける。

「まぁまぁ、落ち着いて、神田くん。
 もう少ししたら愛しのレイナちゃんも帰ってくるハズだからさww」

「んなっ!!?//////」

いきなり想い人の名前を聞かされ、真っ赤になる神田。

神田は、レイナに片思い中なのだ。

それをネタにされ、からかわれる事も少なくない。

普段ならとっくに抜刀しているのだが、今回は相手が相手。

弱みでも握られているのか、神田はリー兄妹に頭が上がらない。
(特にリナリー)

「あら、やっぱりそうだったの?
 ・・・“私のレイナ”に告白なんてしてみろよ?
    一生娑婆の空気なんて吸えねェようにしてやるからな


神田はそのとき、リナリーから只ならぬ殺気を感じた。

「(殺気が・・・)おい・・・今何か・・・?」

「気のせいよv(黒」

笑顔で答えるリナリーだが、その笑みは・・・黒かった。


・・・・・・・・・・・・・・・

コポポポポポ・・・

リナリーがカップへコーヒーを注ぐ音がし、辺りにコーヒー豆特有の香りが広がる。

「ブラックでよかったわよね?
 (砂糖入れちゃったけど)」

「・・・あぁ」 

神田はコーヒーを一口飲んだ。

「・・・?」

カップから口を離すと眉を引きつらせていた。

「おいリナリー、テメェ砂糖入れやがったn
 「「「室長ぉ――――、ハンコお願いしま―――す!!!」」」 ・・・チッ」

神田がリナリーに砂糖の文句を言っていると、リーバー率いる科学班に遮られた。

「あ!ボク用事思い出しちゃった!!
 じゃっ!!(逃」

コムイは電光石火のごとき速さで司令室を飛び出していった。

廊下に「コムリン作らなきゃ〜!!(汗」というコムイの声が木霊する。

「兄さん!?」

「逃げたぞ!」

「追え―――!!!」

科学班員とリナリーはは逃げたコムイを追いかけバタバタと司令室を出て行った。

静かになった室内には神田が一人。

その周りを床を覆っていた資料が風で舞っていた。

・・・・・・・・・・・・・・・

後に残された神田は、

「だるい・・・寝るか」

任務の疲れからか体がだるく感じ、ずり落ちてきたコートを羽織り直し自室へ向かった。


―この後、我が身に禍が降りかかることも知らずに・・・



『チャイルド☆パニック』

〜全ては些細な悪戯から〜