瞬間冷却大作戦!





セミ達がオーケストラとなるこの季節。





『一気に涼しくなる方法って、ないかな?』





全ては、彼女の一言から始まった……






***









「プールに入る」

『出来れば体力を使わない方向で』

「図書館はどうでしょう?静かで涼しく、体力いらず!完璧です!」

『私結構図書館に入り浸ってるよ?それに、今週は休館なんだよね…』

「やっぱり、エアコンの効いた部屋にいる…とかじゃないかな?」

『でも真琴、私昔からエアコンに弱いんだよね…』

「…知ってる。高確率で風邪ひくからな」

「海に入る」

『…遥…』





何がいけないんだというような遥に、なまえは溜息をつく。

なまえの出したお題は、意外にも難題だったようだ。





「それなら、僕にいい考えがあるよ!」

『ほんと!?ナギちゃん!』

「うん!」





渚の“いい考え”に、嫌な予感しか感じられない怜と真琴。この時、全力で止めるべきだったと、後に真琴は思うことになるのだが…














『お邪魔しまーす』





渚に言われた通り、お菓子やらジュースやらを買い、遥の家にやってきたなまえ。まだ日は明るいが時刻はもうすぐ7時だ。

玄関には、男物の靴が五足…

五足?



とりあえず居間へ向かうと…





「あ、なまえちゃんやっと来た!」

『ごめんね、遅くな…って凛?』

「よぅ」

『え、何で凛?コウちゃんは?』





そこにいたのは、家主の遥、真琴、渚、怜、そして凛。






「なんか友達の家に泊まる約束してたみたいでな…」

「代わりに凛ちゃんに来てもらいました!」

『そうだったんだ』





話を聞きながら持って来ていたお菓子とジュースをテーブルに並べる。率先して手伝う真琴と怜。





『ありがと真琴、怜ちゃん』

「それにしても、驚いたよ。なまえの親はこんな時間に来ること、了解してくれたんだね」

『遥の家に行くっていったら、全然オッケーくれたよ?むしろ帰り遅いんだから、泊まらせてもらいなさいとも』

「へぇー……ぇえ!?!?」





突然真琴が叫んだせいで、なまえの手からジュースを注いだコップがすべり落ちそうになる。

もう、真琴危ない!と怒るなまえだが、真琴はお構いなしに話を続ける。

それほど焦っているようだ。

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