06
「といっても、戸籍からは消されてはいませんでしたが」
「ややこしいな!」
骸さん、という人はなまえに近づくと、一瞬悲しそうな表情を浮かべた。
「僕は六道骸と言います。なまえの名前が分かったのは、これのおかげですよ」
そう言って渡されたのは、ベージュのカバン。
『私のカバン…』
「女性の荷物をむやみに見るのは、とても気が引けたのですが、なにぶん急ぎでしたので…」
六道はに資料のようなものを見せる。
「彼女の勤め先を調べたのですが、どこにも“彼女が存在していた”といえるものが何もなかった…いえ、何者かに処分されたみたいです」
さらに骸さんは、一枚の写真を取り出す。
「なまえ、この場所に見覚えは?」
『ここ……!!な、んで!』
写真の中心に収まるその場所は、周りの白い外観にそぐわない黒い窓。
マンションの一室……私の部屋だ。
「身元のわれそうなものは全て…ってことか…」
「そのようですね。最近多発している失踪?行方不明事件とまったく同じ手口…相当の自信がおありのようですし…」
「それ相応の力もある……厄介なヤツらが影でコソコソしてるのな」
「ボンゴレに隠れて…いや、ボンゴレの見えるところでやるたぁ、いい度胸じゃねぇか!!」
「ちげーぞ、獄寺」
赤ちゃんは一番最初に部屋に入ってきた怖い銀髪さん…獄寺さんに顔を向ける。
赤ちゃんとは思えない雰囲気には、正直ビックリ……それは私だけじゃなかったみたいで、部屋にいた全員が固唾を飲んだ。
「相手は、ボンゴレの見えるところで動いてんじゃねぇ……
ボンゴレに見えるように動いてんだ」
『ボンゴレ』とは、何者も逆らってはならない組織
(ここは、私のいた『世界』じゃない…)
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