バンド聞こうぜ!
本丸といえば短刀達の笑い声が、審神者の部屋といえば穏やかな音楽が。何かしらの「音」が流れていることが常である。
近年では、その日の近侍によって審神者の部屋に流す音楽…近侍曲なるものが作られたりしている。
審神者によっては、音楽によって、自分が審神者であることを自覚したり、集中力が高まったり…或いはリラックス出来たりと、一種のスイッチのような役割として使用していた。
中には、現代から自分の好きな楽曲を流す審神者もいた。ここの本丸の主であるなまえも、その内の一人なのだが…そのことに納得出来ていない刀剣が存在した。
「あったこれか…」
「こんなことをしているとなまえさまにしられたら、まちがいなく加州はきらわれますね」
「っ、それは嫌だけど!でも気になるし…今剣だって気になるから着いて来たんだろ!?」
だから嫌われる時は一緒だから!と今剣を指差す加州の反対の手には、一つのCDが握られていた。
「それがなまえさまがさいきんひとりでよくきいているものですか」
「そーみたい……」
「ぼくがまえにへやにはいったときも、とちゅうだったのになまえさまはすぐにとめていて…いつでもきけるからって、そのときなまえさまはいってましたけど……って、きいてますか、加州?」
「男…男とか…」
「加州!」
「っ、ま、まぁ、赤を使ってるのはいいんじゃん?」
「それはいったいなにめせんですか?」
CDジャケットの背景色は赤。そこに男が四人。全員が刀を持っていて、一番前の人物に関しては、こちらにその切っ先を向けている。
それが妙に加州をイラつかせていた。
「何やってるの?」
「うわぁ!?」「おっと!」
突然掛けられた声に、加州が持っていたCDを落とした。
床に落下する前に今剣がキャッチしたために、傷一つなく回収されたのは、不幸中の幸いだろう。
「っ、びっくりしたぁ!」
「ごめんごめん」
本当に悪いと思っているのかどうか、測りかねるような緩さで謝罪をしているのは、源氏の重宝、髭切。彼の手には青いパッケージのCDがあった。
「それは…」
「主に届け物だよ」
「これとは違うヤツらか…」
自分の持つものと髭切が持つものを見比べる加州。
背景は青一色。横並びに男が四人。
「また男四人だし、色が青とか論外だよね」
「だからなにめせんなんですか」
「やっぱりこの部屋に流すのはこれにしよう」
髭切の持つものを受け取り、自分のと両方を机に置くと、慣れた手付きで別のCDを取り出した。
「そうやってじぶんのきょくをいれるんですか」
「おやおや、そうなのかい?」
「別にいいだろー!」
「なまえさまにおこられてもしりませんから」
「うーん、むしろ呆れられるんじゃないかな?」
「っ、なまえは怒らないし、呆れもしないから!」
加州が手にしたのは、時の政府による、審神者&刀剣男士PR活動のために作られた曲。
後日再生ボタンを押した瞬間、流れてきたその曲に、一瞬驚いたものの、障子の向こうから微かに感じる気配から事情を察したなまえが、怒りもせず呆れもせず、ただ笑っただけだったのは別のお話。
バンド聞こうぜ!
(それよりも、俺の曲聞いてよ!)
End
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バンやろ!が一周年なので←
赤…BLAST「song writer」
青…OSIRIS「Voice」
昨日は高良くんの誕生日だった!おめでとー!←
2017.11.2
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[mokuji]
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