俺の声は届いていますか?
※CMネタ?
※捏造過多!
※何でも許せる人向け
「……あるじぃ〜」
「……」
「……もうむり、本当に主不足。ぎゅってしたい。可愛がってもらいたい。爪塗ってもらいたい。頭撫でてもらいたい。一緒にご飯食べて、あーん、てしてもらいたい。一緒に万屋に行きたい。でーとしたい。膝枕してもらいたい」
「清光、うるさい」
「何だよ!安定だってそう思ってんだろ!」
「…仕方ないよ。主には現代での生活が軸なんだから」
「うぐっ!…そうだけどさぁ…」
俺達の主、なまえ。
審神者という職は、幅広い年齢から、性別を問わず採用される。とは言え、審神者についたことは、基本的には誰かに口外することはない。
その特異な職業柄、収入が多いということから誰とも知れぬ者に狙われる可能性と、歴史修正主義者に直接か間接か、どちらにしても、命を狙われる可能性がある。
そのため、表向きの仕事を現代でこなしつつ、審神者の仕事をするのだ。
審神者が本丸に住み込みで生活をするのが基本だが、現代での生活が、審神者の仕事をするモチベーションを保つ場合もある。そういった審神者には、本丸にいなくとも出陣や内番の指示を出せるように、時の政府から専用のタブレットが支給されていた。
タブレットからの指示が無い場合、本丸維持のためのプログラムが作動するのだが…。
「やっぱりなまえに会いたい。なまえに触りたい。なまえの声が聞きたい…」
「たぶれっとからの指示すら来なくなったからね…」
「あれなら、一応なまえの声は聞こえてたからさ…」
「なら、こちらから呼びかけてみてはいかがでしょうか?」
「「はぁ?」」
いつからいたのか…部屋の中にちょこんと座る管狐、こんのすけ。机の上に前足を使ってタブレットを置く。
「何、呼びかけるって…」
「ですから、審神者様にです!」
「え、そんなこと出来るの!?」
「ええ!しかし…少々厄介でして…」
「厄介?」
「はい。通常、本丸から審神者様に発信することはまずありません。なので、今現在出来るのは、声を送ることだけなのです。また、必ず審神者様に届くとは限りません。勿論、審神者様の耳に届くであろう瞬間を狙って送りますが…すぐに戻られる、という確証はありません。……それでも、よろしいですか?」
こんのすけの言葉に、顔を見合わせる二人だったが、二ッと口角を上げた。
「もちろん!」
「少しでも可能性があるなら、やる価値はあると思うよ」
「それでは、早速!」
「え、もう!?ちょっ!」
有無を言わせず、こんのすけは清光にマイクを向ける。戸惑った彼だったが、顔を赤くしつつも、自分の主であるなまえを思い浮かべる。
「やっほー」
「!?」
予想外の出だしに固まる安定。
とても落ち着き払った様子で、淡々と語る。それが安定をイラつかせた。
「はい、そこまで!時間いっぱいです!」
「え、あ、うん…」
ふっと一息ついた清光が目にしたのは、ムッとした表情の安定。
あはは…と笑うと、眉間にシワが更によった。
「何今の…散々喚いたくせに、あれ?」
「だ、だって仕方ないだろ!かっこ悪いとこ見せて、嫌われたくないし…みっともないなんて思われたくないし…!」
「ああ、かっこ悪いことしてた自覚はあるんだ」
「うぐっ…!」
「……大丈夫だよ」
「へ?」
「なまえには、きっと清光の気持ち、届いてるとおもうよ」
「安定…」
「それでは、審神者様に送ってみますね!」
「うん、よろしく!」
こんのすけを見送る清光は、最初の陰鬱とした表情は欠片も無かった。
それは安定もまた、同じ。
二人が待ち望んでいた、主であるなまえが、この翌日に本丸に来たことは、また別のお話。
俺の声は届いていますか?
(僕も声、送りたかったなぁ…)
(悪かったってば)
(というか、皆に相談とかしないで、勝手に主に声送っちゃったけど、大丈夫かな)
(あ……まぁ、言わなきゃバレないよ)
(長谷部とか兼定とか三日月とか…誰一人にでもバレたらうるさそうだよね)
(……そうねー)
End
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あのCMを見て、「うちの近侍!」と思った審神者様は多いはず…
2017.9.7
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