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胃の中身がせり上がって、その場は必死でこらえてトイレで吐き出す。昨日食べた物を全部吐き出しても嘔吐は止まらなかった。
暗い中で微かに見えた部屋の中は少し荒れていた。
一体、いつ帰ってきたのだろう。僕たちがいないから、探したのかな。
どんな思いであの手紙を書いたのだろう。
どんな思いで、首を、
「うっげぇ、げえ……」
僕たちが「幸せ」だなんて思っているあいだに、父親は自殺したのだ。
僕たちを探しても家のどこにもいないから、きっと、それが父親を傷つけたんだろう。
頭の中に、さっき見た父親の顔が、一瞬しか見ていないはずの父親の顔が、それでも鮮明に浮かび上がる。
泣きぬれた父親の顔が、焼き付いて離れない。
僕が安易にお泊まり会なんて行かなければ、帰ってきた父親と、きっと、今も過ごせたはずなのに。
僕が、それなのに、お父さんは、もう、そんな、ああ、嘘、嘘、嘘
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