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がしゃん。
手に持っていた手作りプラネタリウムを取り落とす。
真っ暗な居間に、父親はいた。
テーブルの向こう。
天井から降りたロープ。
うな垂れて動かない、お父さん。
「あれ?お父さ……」
僕は反射的に、弟の目を手で覆って目隠しした。
僕は理解できない。
いや、一瞬で理解できてしまったからこそ、わかりたくなかった。
そんな、だって、まさか、嘘だ。
嘘だ。
テーブルの上に、震えた文字の書かれた紙が一枚落ちていた。
濡れてにじんでいる。
汚い走り書き。
『ダメな父親で、ごめんな』
「うっぐ、」
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