12


 がしゃん。
 手に持っていた手作りプラネタリウムを取り落とす。

 真っ暗な居間に、父親はいた。
 テーブルの向こう。
 天井から降りたロープ。
 うな垂れて動かない、お父さん。

「あれ?お父さ……」
 僕は反射的に、弟の目を手で覆って目隠しした。
 僕は理解できない。
 いや、一瞬で理解できてしまったからこそ、わかりたくなかった。

 そんな、だって、まさか、嘘だ。
 嘘だ。

 テーブルの上に、震えた文字の書かれた紙が一枚落ちていた。
 濡れてにじんでいる。
 汚い走り書き。
『ダメな父親で、ごめんな』

「うっぐ、」

- 12 -


[*前] | [次#]
ページ:






戻る