真実



「ただいま」


「パパおかえりー!」

いつもの様にハズキが出迎えてくれる。が、


「ハズキ、ママは?」

「ミツバちゃんなら出かけたわよ」


「母さん…」


また出かけている様だった
靴を脱ぎながら念のため聞いてみる

「母さん、ミツバは何処に?」


「さぁねぇ、出かけてくるからハズキをお願いしますとしか言ってなかったわよ?」


またか、ミツバは一体何処に行っているんだ




しばらくすると

『ただいまー』


「ママー!おかえりー!」
「おかえりなさい」

『ハズキー!ただいまっ!お義母さんもすいません!遅くなって』

至って普通に会話するミツバ


「おかえり」

『あれ!イタチ?!今日はシスイさんと会うって言ってなかった?』


「ああ、会ってきた」


『早かったんだね!てっきり居酒屋でも行くのかと思ってた!』


遅く帰った方がよかったという事か?

「明日も任務だからな」

素っ気なく言葉が溢れる
落ち着いていた気持ちも少しの不安から段々とシスイと会って話す前に戻りつつある


『ねぇ、なんか怒ってる?』


変化に気づいたミツバは不安そうにオレの顔を覗き込む


「いや、怒ってはないが…。ミツバ後で話しがある」


『改まってどうしたの?』


「後で話そう」

そう言ってリビングに戻るイタチ
何か様子がおかしい、イライラしているというか、焦っているというか
とりあえずいつものイタチではなかった



真実



お義母さんも家に帰り、ハズキを丁度寝かし付けた頃お風呂から出てきたイタチ



「ミツバ、さっきの話しなんだがいいか?」


『うん』


改まって何の話しだろうか
お互い何か言うわけでもなくソファに座り、暫しの沈黙

その沈黙を破ったのはもちろんイタチ



「率直に聞くが、ミツバ」

「オレに隠している事は無いか?」



『え?』


「最近一人でよく出かけるだろう」


『……。』


「行き先も言わず何処に言ってる?」


『これ以上隠せないか……もう少しして言おうと思ってたんだけど…』


「?」



『イタチ、落ち着いて聞いてね』




『二人目、できたみたい』

そう言って嬉しそうにお腹を撫でるミツバ



「………。」

聞き間違いでは無い"二人目ができた"
今ミツバは確実にそう言った


『イタチ…?……わっ!』


不安そうに顔を覗き込むミツバを思わず抱きしめた
そして少しでもミツバを疑った自分を恥じた


「すまない、ミツバ。少しでも疑ったオレを許してくれ」

抱きしめる腕に力が入る


『ううん、私も黙っててごめんね。不安にさせちゃったよね?』


ミツバの手がふわりと頭を撫でる
これだけでとても気持ちが落ち着く
ミツバが出かけると不安になり頭を撫でられると落ち着き
フッ、オレはまるで子どもだな

頭を整理していると次の疑問が浮ぶ


「ミツバ、どうしてすぐ言わなかったんだ?」


『それは……』


「どうした」


『……イタチが過保護になるから!』


「オレが?」

とぼけているがハズキの時はすごかったのだ
病院に行き妊娠がわかった帰り道から
"歩いて大丈夫か?抱っこするか?"
買い物に行けば"そんな重いもの持つな"
洗い物をしていれば"水なんか触ると体が冷えるぞ"
と、こんな調子だった

全て彼なりの優しさだろうが少し過保護すぎたのでお腹が目立つ様になってから言うつもりだったのだ




「あれは、全てオレなりに心配してだ」


『わかってるよ!わかってるけど、ちょっと大げさすぎだよ!それに次は初めてじゃないしあそこまでしなくて大丈夫だから、ね?』



「ああ、わかった。ところで何ヶ月なんだ?」



『今ね二ヶ月!』


「もう二ヶ月なのか、頻繁に出かけていたのは検診のためか。生まれるのは四月ぐらいか?」


『ごめんね黙ってて、うん!そのくらい!』


そう言えば…

「夕飯を食べなかったりしてたのはつわりが原因か?」


『うーん、あんまり激しくはないんだけどね』


「すまない、キツかっただろう」


『私が勝手に隠してた事だから!イタチは悪くないよ!むしろ悪いのはパパに隠してた私の方…』


いくらイタチが過保護だったからといって父親に隠していたのはやりすぎたかもしれない


「気にするな。という事はたまに一人で嬉しそうに笑ってたのもこの事か」


『え!バレてたの?!恥ずかしい!』


「オレが毎日、どれだけミツバの事を見てると思ってる」


『イタチって、たまに恥ずかし事サラッと言うよね』


「なにがだ」


そして無意識なのがモテる秘訣なのかもしれない



『ううん!なんでもない』



「性別はまだわからないんだろう?」


『まだわかんないみたい、どっちかなー?』

お腹を撫でながら微笑むミツバ


「触っていいか?」


『もちろん!!ほら、パパだよー?』

ミツバの語りかけと共に優しく触れる
まだ胎動などは感じないが久しぶりの感覚
ここにオレとミツバの子どもがいる
ハズキの時も嬉しくてたまらなかった


「パパだ、元気に生まれてくるんだぞ」
お腹をゆっくり撫でミツバを抱きしめる

『イタチ…?』


「ミツバ、ありがとう。一緒に頑張ろうな」

イタチの抱きしめる腕に力が入る

『ん…』

優しく触れる唇
そして微笑むイタチ
私もつられて笑う

元気に生まれて来てね、赤ちゃん!



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