思えばそれは、本当に苦肉の策でした。

彼らからしてみれば、本人たちに来てほしかったのかもしれません。そして、本人たちの口から謝罪の文言を聞きたかったことでしょう。


けれども私も彼女たちも、ファンの女の子たちに対する苛立ちが積もり積もっていたであろう彼らのもとへ行くのには、幾つも勇気が足りなかったのです。

もじゃもじゃ頭の彼や赤髪の彼からは、考えうる限りの罵詈雑言を浴びせられるかもしれない。
目の細い彼や眼鏡をかけた彼からは、彼女たちがしでかした行為に対する刑罰の知識を以ての精神攻撃を受けるかもしれない。
温厚そうな彼らの長だって、多大なる被害を受けています。黙ってはいないでしょう。きっと、怒らせれば誰より恐いに違いありません。

そんな彼らの前で謝罪するどころか、寧ろまともに立っていることすら、私や彼女たちには到底出来そうにないことでした。


ですから、本当に、本当に申し訳ないことをした、という反省と後悔を胸に蓄積させていた彼女たちを救うべく、私は決行したのです。


彼女たちの想いを、秘密のメッセージに込めて。



next,Yanagi



back
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -