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「で?話って?」
「あ、えーと…私働きたいなぁ、って」
「は?」


しどろもどろになりながら伝えてみればマルコさんは絵に描いたようにポカーンとしていた。ちょっとごめんなさい。その顔すっごくおもしろい…!


「…なに笑いこらえてんだい」
「くっ…ごめんなさい。顔がおもしろくて」
「…だれの」
「そりゃあマル…じゃなかった。間違えました」
「おい今完全におれの名前出そうとしてたろい」
「がはぁっ!」


久々に強烈な一撃をいただきました。痛いです。


「お前、働くってどういうことだよい。家にいるのがいやになったか?」
「ち、違います!そういうわけじゃなくて…」
「なら理由を聞きたい」


さっきまですっごくおもしろい顔をしていたのに今はまるで別人のようだ。本当に同じ人?真剣な眼差しが少しだけ、怖い。


「ま、前々からマルコさん帰りが遅いじゃないですか…。残業しなきゃならないくらい切羽詰まってるなら、私だって働かなきゃって…」
「…なるほどね」


マルコさんは前のめりになっていた体制を戻して納得したように一人うなずいていた。私だって働いていたのだし、もしかしたらあのバカ社長のところでもう一度働かせてもらえるかもしれない。働き口ならきっとなんとかなる。大丈夫、私だって家計を支えることはできる。


「べつにおれは生活が苦しくて残業や休出をしてたわけじゃねェよい」
「え?」
「もし金銭面のことを考えてそう提案してくれたのだとしたらその必要はねェよい」
「じゃあ、なんで…」
「じきにわかる」


じきに、じゃなくて今聞きたいんですけど。視線で訴えてみるが当の本人は知らん顔を決め込むつもりらしい。これは…言いたくない、ってことなんだろうか。


「べつに家に閉じ込めておく気はねェが、今くらいは家にいてほしい」
「大丈夫なんですか…?」
「aaaひとり養ってくぐらいの甲斐性はあるつもりだよい」
「でも、なんだか甘えてしまってるような気がして」
「それでいいじゃねェか。仕事から家に帰ってきたとき、aaaがあったかい料理を作って待っててくれてる。それだけでおれは十分だ」
「ほ、ほんとう…!?」



こここここれってばすごい告白されてるんじゃないの!?だってだって…そういうことだよね?私がご飯作って待ってるだけで今のところそれ以外望んでないってことなんだよね?そうなんですよね…!?マルコさんは自分がどれだけ大胆な告白をしたかわかってないみたいだけど。この天然さんめ。
これはとてもうれしいぞ。あの“ご飯おいしい事件”からマルコさんが私に心を開いてきてくれてるようなきがしてならない。私にとっては願ってもないことだ。


「まあだから心配いらねェよい」
「わっ、わかりました!これからもおいしいご飯作って待ってますね!」


嬉しさを隠すことなく伝えればにっこり笑ってくれた。あ、その笑顔かわいくて好きです。さあ、この話は終わりってことでご飯にしようと思ったとき、マルコさんに言われた。



「空けといてもらいたい日がある」






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