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「ただいま」
「おかえりなさい。おつかれさまです」
「ん」


いつもどおりスーツと鞄を渡されて一緒に寝室へ入る。よく見ればYシャツの背中部分が皺になっていた。


「(頑張って働いてくれてるんだなぁ…)」


それなのにマルコさんは仕事のどんなことも家には持ち帰っては来ない。仕事はあくまで職場で。そういうことなんだろうけど。ありがたいけども。でも私としては大変なら大変でそう言ってくれて構わないし疲れたのならマッサージくらい喜んでするのに。そういうところも寂しかったりするのだが、これはちょっとぜいたくな悩みなんだろう。


「あの…!ちょっといいですか…?」
「ん?どうした?」
「その、マルコさんにお話があって…」
「話?」


どう切り出せばいいのかわからなくて、とりあえず当たり障りのないように言ってみたけどマルコさんは変に思ったのか怪訝そうな顔をした。ああああっ…!この時点で失敗な気がする…!だってさぁ仕事終わりで疲れて帰ってきたところにこんな話の振られ方したら…ねぇ?
冷静になって考えてみれば当たり前のことなのに、焦っていたせいでタイミングを計り間違えてしまった。で、でも私はマルコさんの負担を減らしたいって話をするだけで!別に変な内容じゃないんですぅぅぅ…!


「話か…。とりあえずリビング行かねェかい?」
「あ、はい、そうですよね。行きましょうか」


がんばれ私!





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