あなたの帰る場所
『リヴァイ…アッカーマンっていう名字だったんだね』
「…みてぇだな」
ナマエは頬を膨らました。
『折角リヴァイに名字あげたのにリヴァイの名字分かったんじゃ、私がナマエ・アッカーマンになりたかった』
「おれはお前の名字貰えて良かったが」
『…そんな風に言われたら何も言えないじゃんばか』
日差しが心地よい午後。
兵団敷地内にある長椅子にて二人は寄り添いあっている。
リヴァイはナマエにかけられたブランケットをかけ直す。
「ずれてる。身体冷やすんじゃねぇ」
『リヴァイは大丈夫?』
「ああ。」
『ありがと』
ナマエは大事そうにお腹に触れている。リヴァイはそんなナマエを目を細めながら見つめている。
普段のリヴァイからは想像つかなさそうなほど、優しさをまとった瞳をしているリヴァイ。きっと他の兵士がみたら目を疑ってしまうだろう。
「そろそろ戻るぞ」
『はーい』
先に立ち上がったリヴァイは、長椅子に座っているナマエに向かって手をだす。その手を取りナマエは微笑みながらたちあがった。
「そろそろ家決めねぇとな」
『兵団敷地内にするか、外にするか悩むね』
すぐにリヴァイと会えるとこだったらどこでもいいなあ。とナマエは溢す。リヴァイは何も言わなかったが、ナマエにの手を握っていた手をぎゅっと少し力をいれる。それに気づいたナマエはまた頬笑む。
『エルヴィン、私兵士の復帰さらに遅くなるけどいいかな?』
怪我も治り、兵士復帰へとリハビリをはじめてある程度たった頃ナマエは団長室にいるエンヴィンに恥ずかしそうに言った。
エンヴィンは単純にナマエという戦力がないのは困ると考えたがあることが頭をよぎる。
「…リヴァイの子でもできたのか」
『正解』
ナマエははにかんだ。
そして、エンヴィンも微笑んだ。
「もちろん構わないよナマエ。おめでたいことだもの。」
『ありがと、エンヴィン』
そしてエンヴィンは考えた。
「…ナマエ、これを機に兵士を辞めるのはどうか?あ、いやそんな顔をするな。正確には壁外調査へと出ない補佐や医療、もしくは調査団内の雑務などにならないかって」
『…なんだ。てっきり調査兵団を辞めろって意味かと。』
「俺をなんだと思ってるんだ…」
『冷酷非道な調査兵団第13代目団長エンヴィン・スミス』
エンヴィンは何か言いたそうな顔をしているのを見てナマエは笑った。
『……そんなわけで、エルヴィンにそう言われたんだけどどうする?』
「おい、まて」
リヴァイにエルヴィンにこう提案されたとナマエは伝えた。
だがしかし、リヴァイは眉間にシワをよせ少し怒りを孕んだ声でナマエを見つめる。
「てめぇ俺に一番大事なこと言ってないぞ」
『……あっ』
「エルヴィンより先に俺に言え」
ナマエは笑った。そして、リヴァイに抱きついく。抱きついてきたナマエを優しく包むリヴァイ。
『リヴァイ、産んでいい?リヴァイとの赤ちゃん』
「当たり前だろ馬鹿」
二人は見つめあい微笑んだ。
『そんなわけでどう思うリヴァイ』
「ナマエはどうしたいんだ」
『エルヴィンに言われた通りにしようかなって思ってる。調査兵団は辞めたくない、けど私はこの調査兵団が好きだからここにいたい。』
「お前の好きにしろ…」
『本当は?』
笑顔でナマエはリヴァイに聞く
「…ったく。俺としては、お前に俺の帰る場所でいて貰いてぇ。そして何より腹の中の子供の為にずっと生きてくれ。」
『んふ、そうするつもりだよ』
「実感ねぇな」
『私も。でも、少しずつすると思うよ』
ナマエはお腹に手を当てながらリヴァイを見つめる。
ナマエは本当は兵士に復帰してもいいかなと考えていたが、リヴァイが望まないのならそれに従うつもりでいた。
リヴァイの帰る場所、それでいることをリヴァイが望むのならそれが何ナマエにとっても一番だからだ。
素直に帰る場所でいて欲しいと言ったリヴァイにナマエは愛しさがこみ上げて、リヴァイの頬にそっと触れるだけのキスをした。
ナマエは、いくら人類最強とリヴァイが言われようが、本当は弱さを見せないようにしているだけだと知ってるいる。
その弱さを見せるのはナマエの前だけで、ナマエだけしか知らないリヴァイ。
ナマエはだからリヴァイの帰る場所でいたい。そして、自分にしか吐けない弱さを吐いて欲しいと。
まだ産まれぬこの命と共にナマエはずっとリヴァイの帰る場所でいたいと。
『リヴァイ、だいすき』
あなたの帰る場所
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