ブーゲンビリアの花びら | ナノ
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prologue


エレンは目の前を横切る一人の女性兵士に目が釘付けになった。

―――なんて綺麗な人だろう。

そう素直に思った。


エレンは現在訓練兵である。
訓練所には教官達以外は基本的に出入りはしないが
時々誰かがやってくる。



その女性は自由の翼をまとったマントを羽織っている。
なら、目の前兵士は調査兵団の人間か。
調査兵団の兵士には相応しくはない長い髪が風に揺れている。その髪の毛は緩やかにウェーブしており、エレンはその兵士に“女性”というものを感じた。


「エレン、行くよ」

「……あ、ああ」

その女性に見とれていたのからなのかミカサに急かされ訓練所へといそいそと足を進めた。


これがエレンがはじめてナマエ・ミョウジという人間の存在を知った日である。




時は移り、エレンは調査兵団へと入団する。
エレンは巨人になれる少年あるが故にリヴァイによる躾及び監視が調査兵団への入団条件付きで。

そしてリヴァイ班とともに旧調査兵団本部へと向かい、エレンは出会う。


『はじめまして、エレン。私はナマエ・ミョウジだよ』

ニッコリと微笑むナマエに固まる。

―――この人はあの時の…!

脳が奥底にあった記憶を呼び覚ます。
訓練兵時代に一度だけ見たことがあるあの女性が目の前にいて固まる。

ナマエが差し出した右手を中々取らないエレンにナマエは首をかしげる。
その瞬間リヴァイが舌打ちをし、ハッと我に返りエレンはナマエの手を取り握手をかわした。


そしてリヴァイの一言により古城内の大掃除がはじまる。
三角巾を纏ったリヴァイの姿にエレンは動揺が走るが、ここであからさまに動揺しているのを出すと蹴られそうな気がしたから平静を装う。


「ペトラさん…兵長はいつもああなんですか」

「驚いた?人類最強と呼ばれるリヴァイ兵長が三角巾を被って掃除をしろっていうことに」

「正直驚きました」

「んふふ。だよね。私も最初は驚いたもん。それによくナマエさんも兵長に付き合えるなって思った。でもナマエさんだからこそ兵長とやっていけるんだよなあって思ってるよ」

「…ナマエさんってリヴァイ班の一員なんですよね?」

「うーん、リヴァイ班の一人であるけどどちらかと言うと兵長の個人補佐って感じかな。」

「個人…補佐…?」

「え、なにエレン?もしかしてナマエさんに惚れちゃった?でもだめだよ。だってナマエさんは兵長のだから」

エレンは目を見開く。
それを見てペトラは笑う。

「毎年ね、入団すると大抵の人はナマエさんに惚れるから仕方がないよ」

「…綺麗ですもんねナマエさん」

「惚れたの認めたねエレン」

「ちがっ、ちがいます!」


あわてふためくエレンにペトラは意地悪をしたくなる。


『こら。掃除サボってると兵長に怒られるよ?』

その瞬間ナマエがやってきて、エレンは更に慌てる。さっきの話聞かれてるのではないかと。

『エレン、兵長は厳しいから最初はすごいダメ出しされるからめげずに頑張るんだよ。ペトラ、私エルドたちの方行ってくるから』

「わかりました!ほら、エレンやるよ!」


あたかもエレンがサボっていたかのように言うペトラにエレンは嘘だろって思う。そして、部屋から去り行くナマエの背中を見つめる。


「ああ、そうだ。エレン、あのね。そのうち知るだろうから言っておくけど、ナマエさんは壁外調査に出ない兵士だから。それは…まあ理由が気になるならナマエさんに聞くといいよ。」

「壁外調査に出ない兵士…?」


エレンの頭は理解ができなかった。
調査兵団なのに壁外調査にでない?
意味が分からなかった。



「おい、お前ら。サボってんじゃねぇ」

リヴァイの声が部屋に響く。
ペトラとエレンは顔が青くなり、止まっていた手を動かした。






調査兵団に所属しながら壁外調査にでない兵士
それがナマエ・ミョウジである。


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