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鳥かごの中の安らぎ




リヴァイがいない。それだけでナマエの心はポッカリあいてしまったようだ。

リヴァイはナマエのお客さんである。
ナマエはこの地区一有名な娼館で働いているのだ。

出会いは一年前。調査兵団のお偉いさんを癒すというお仕事をいただいてから。ナマエはそのときにリヴァイに当たった。
着ている意味のない肌が見える触り心地のよい布は男の興奮を誘う。ナマエはいつものようにその興奮をさらに煽ろうとするとリヴァイは冷たく「よるな」と言った。


『お仕事なんです…』

「だが、俺はお前を抱く気はない。」

『では、どうしたらいいでしょうか』

「テキトーに過ごせ。何が貴族からの接待だ。クソっ」

調査兵団への資金を援助している貴族からの「あんなとこではろくに女を抱けないだろう。こちらで取り計らってやる」という迷惑極まりないものだった。
多大なる資金を援助して貰っている手前断れるもなく、こうしてやって来たもののリヴァイは欲をもてなかった。


「俺は少しねる。お前はテキトーに過ごせ」

『了解いたしました』


ナマエは戸惑った。ここに来る客はナマエの身体を貪り尽くし、ナマエはそれに応えるように奉仕をする。それが仕事だから。

ベッドに横たわるリヴァイを見つめると疲れきった顔をしている。ナマエは酷く心を擽られた、その柔らかそうな髪に触れたいと。

適当に過ごせと言われたから、己の手をリヴァイの髪にのばす。しゅるっと指ですくとリヴァイが目を開けた。

「何をしている」

『適当に過ごせといったものですから……』

「……あまり、しつこく触るなよ」


リヴァイはまた目をつぶった。
ナマエは心が安らぐ気がした。





それからリヴァイは月に一度。もくは二ヶ月に一度のペースでナマエのまえに現れるようになった。身体を重ねることは一度もなく、ただ眠ることしかしない。
ナマエにとって、それは、すごく心が落ち着く時間になっていた。



『リヴァイさん、壁外調査お疲れ様でした。』

「ああ…」

『今日はどうします?』

「いつも通りだ。」


疲れた顔をしたリヴァイと一緒にベッドに横になる。ナマエはリヴァイを抱え込むように向き合い、リヴァイはナマエの首すじ辺りに顔を近づける。首にかかる息が少しくすぐったくて心地よい。


『リヴァイさん、おかえりなさい』

「ああ」

この時間にナマエはどうしようもないぐらい幸福を感じる。


おかえりなさい

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