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『兵長!すきです!結婚してください!』

「…そんなことより頼んでおいた書類は終わっているのか」

『終わっているのでこうやって兵長に求婚している次第であります!』


兵長が大きなタメ息をついた。
私は兵長の執務室のソファーに横になり、足をバタつかせる。

「ホコリがたつからやめろ」

『じゃあ結婚してください兵長!』

「だからなぜそうなる」

『兵長のことが好きだからです!』

「ちょっと落ち着け」

『兵長と結婚したら落ち着くと思います!』


本日二度目の大きなタメ息。
そのタメ息をつく姿でさえ私はかっこいいと思ってしまうから、本当に兵長が大好きなんだとおもう。

無視をして書類目をむけた兵長に視線を送っても兵長はその視線に答えてくれる気配はなくて、つまらない。
クッションを抱きかかえて目をつぶる。兵長の執務が終わるまで待ってよう。
昨夜、兵長に頼まれた書類をさっさと終わらすべく!って遅くまで起きていたから眠い。





気がつくとソファーからスースーと規則正しい寝息が聞こえる。
ナマエは俺の班員でもないのに俺の手伝いをしに、よく俺の部屋にくる。こないだミケに怒られているのを俺はみた。

キリよく終わった書類と筆を机に起き、規則正しい寝息を立てているナマエのもとへ近づく。
成人しているというのにまだ幼さが残る寝顔は……まあ、喋らなければ可愛いとは思うんだがな。
喋る事に結婚してくれと求婚されるのは鬱陶しい。以前エルヴィンに団長命令でやめさせろと言ったら他人ごとたからなのか笑顔で「結婚すればいいじゃないか。」と言いやがった。



『へ、ちょ……んっ、結婚、』

「……寝言、か」


夢まで俺に求婚してるのかよ。
どうしてナマエはこんな俺と結婚したいと言うのか。そもそも付き合ってすらいないのに。

思わず髪の毛に手を伸ばしてしまった。見た目よりもサラサラしている髪の毛を指でもてあそぶ。


「…なにやってんだ」


我にかえり机に向かいなおす。
静かな執務室にナマエに寝息だけが響いて、だがそれがなぜにか嫌とは思えなかった。


眠り姫の王子は
まだその気持ちに気付かない



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