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『風、気持ちい』


団長室の窓をあける。
外はは真っ暗で空には星だけが輝いている。壁の中にも夜空はあるのだ。


窓際に立つナマエをエルヴィンは微笑みながら見つめる。ナマエは少し冷えた風を浴び、星を眺めていてる。


「ナマエ」

『どうしました団長』

「綺麗だなって思って」

『…お世辞はいりませんよ。何か悪い事でもしました?』

「君のそういうところが好きだよ」


エルヴィンは椅子から立ち上がり、ゆっくりとナマエに近づいて行く。
秋の少し冷えた風と共にナマエの甘い香りが流れこんでくるのを感じながら。

ナマエを覆い被さるように後ろから抱きしめると、ナマエはくすぐったそうに笑った。


『団長。今日の仕事はまだ終わってませんよ。』

「いいじゃないか。もうこんな時間だし誰も来やしないさ」

『そう言ってこないだリヴァイ兵長が団長室にやってきて、恥ずかしい思いしたじゃないですか…!』

「別に最中じゃなかったんだから気にしなくても」

『きにします!』


つまらない、そうエルヴィンが呟くとナマエは不満そうにお腹にまわっているエルヴィンの腕を叩く。

叩かれたことなど全く気にせずエルヴィンはナマエの首筋に顔をうずめる。

「それに、そろそろ」

『ふふ。そうですね。』

「ナマエ、いつも助かっているよ」

『それは私の台詞です』

「俺はナマエがいないと何もできないからな」



時計の針は12時を指そうとしている。

エルヴィンの補佐官として3年。恋人として2年。
特に大きな喧嘩をすることもなく、団長の補佐官として、恋人として、エルヴィンの側にいるナマエ。

エルヴィンはこの壁の中の世界で唯一安らげる場所がナマエだという。
時々団長という立場であることと、自分の野望についてどうしたらいいのかと悩み弱い言葉ナマエに吐く。そんなエルヴィンの弱い面を知っているのもナマエだけで、ナマエは団員の前での勇ましい姿のエルヴィンを見ていると時々笑いそうになる。
ベッドの中では甘えるように自分に抱きついてくるエルヴィンを思い出してしまからだ。

だけどそんなエルヴィンを知っているのが自分だけという事にすごく幸福を感じる。


時計の針は12時を指した。


『団長、誕生日おめでとうございます』

「ありがとう」

『これからも、側にいさせてください』

「勿論だとも。だが、そろそろ名前で呼んでもらいたいものだね」

『えー…団長と補佐官のいけない関係みたいでよくないですか?』

「だから俺との事を頑なに隠そうとするのか」

『なんか厭らしい感じがしていいかなと思って』


エルヴィンは思わず笑った。
ナマエは首筋に感じるエルヴィンの吐息に心が温かくなる。




「補佐官さん、じゃあ私と厭らしい事をしますか」

『そうしたいのはやまやまなんですが、仕事まだ終わってませんよ』

「手厳しいな、私の補佐官は」

『誰に鍛えられたと思ってます?』

「さあ、な。」




ナマエは体勢をくるっと変え、エルヴィンと向き合うようにする。
そしてエルヴィンの頬を両手で包み、背伸びをして唇を優しく重ねた。


星たちだけが知っている


20151014
happy birthday!erwin!


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