junk



『ひーばーりくーん!』
「…何か用」
『今日も相変わらずテンション低いなー』
「今日も相変わらずウザいね君は」
『今日も相変わらず酷いっ!!』
「…で?」
『で?…って、え?』
「何か用事があったんじゃないの」
『あー、そういえばそうでした』
「何か用?」
『あのねあのね!焼き芋焼いたの!』
「ふーん」
『ふーん、って!それだけ!?』
「何か問題でもある?」
『もっと他にリアクションは無いのか』
「無い」
『一刀両断だな!!』
「………」
『………』
「………」
『………』
「………」
『とりあえず、焼き芋食べよっか』
「……今スベったよね、君」
『焼き芋食べようか!!』
「スルーは良くないと思うよ」
『焼き芋食べようか!!』
「スルーは良くないと思、」
『お願いだからそこは置いといてよう!!』
「なんで」
『なんでもクソもない!』
「…ム」
『(あ、可愛い)』
「………」
『とにかくさっきのは忘れるの!』
「なんで」
『気まずいからに決まってんじゃろが!!』
「へー」
『あ、今のカチンときたぞ』
「ふーん」
『うっわ顔面殴ってやりたい』
「きなよ。返り討ちにしてあげる」
『全力でお断りしますぅぅ!!』
「…チッ。……そう、それは残念だな」
『オイ舌打ち聞こえたけど』
「だろうね。聞こえるようにやったから」
『(こいつやっぱSだ…!)』
「それはそうと芋の方は良いの?」
『え?うわぁあ、焦げてるー!!!』
「…ハッ」
『(鼻で笑われた――!!!!)』
「…はい。これ君の焼き芋」
『あ、ありがとう…って熱い!』
「何。うるさいんだけど」
『いやいや焼き芋を手渡しって!』
「何か問題でもあるの」
『大あり!っていうか熱いわ!』
「軟弱な手のひらだね」
『雲雀君の手が頑丈すぎんの!』
「どうだか」
『いや間違いないよ』
「…」
『普通アルミホイルとかで包むもん』
「へー」
『ほら、こうやって…くるくるっと』
「…ねえ、君」
『うん?』
「……いや、なんでもないよ」
『?』
「そのアルミホイルが、さっき草壁がゴキブリ捕まえる為に使っていたなんて僕にはとても言えな、…げほっ、ごほっごほっ」
『えっ』


 ◇


『雲雀君』
「…何」
『焼き芋、おいしいね』
「…そうだね」


ゴキブリを捕まえる為に使ったという例のアルミホイルの行方は誰も知らない――…

そんな、10月の出来事だった。






焼き芋の話
2011.9

|≫
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -