過去編2
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笹川家は代々神凪家の護衛として使えてきた。今代当主には二人の御子がいて、長子である男児が次代の当主だと決まっていた。
しかし、末子の女児である奈々も神凪の力を十分に持っていたので、直系である男児は笹川の本家が支え、分家になる父が奈々に使える様に言い渡された。力がある故に狙われる事があるため、その血が薄れるまでは繋いで行く事になった。
そして、奈々が生んだ奈月には、神凪の力は見事に継がれていたと同時に、神凪ではない力をも宿していた。
後にそれが奈々の伴侶となった沢田家光の家系で現れるブラッドオブボンゴレと言うイタリアンマフィアの血統であることが分かった。

それから、父達の間で息子である俺達が奈月の護衛になることが取り決められた。

笹川家では物心着く前から訓練をさせられ、その後折りを見て主人を決められる。
しかし、今回は奈月が僅か1歳で発現させた死ぬ気の炎の事もあり、早々に護衛をつけられる事になった。
勿論、力の事は世間には秘密なので大人より子供で、年の近い俺達がいる方が自然なので、必然的に決まった。
勿論子供なので未熟も未熟、始めは遊び相手として過ごす事になっていた。一日の大半を訓練に費やして、奈月が外出する時は大抵父が奈々の護衛なので問題はなかった。その間俺達は笹川本家で訓練をさせられていた。

しかし、俺のその頃の状態は酷かったらしい。
今では考えられないが、どうやら俺は感情の起伏が少なく、それこそ子供らしからぬ子供だったらしい。
機械的に訓練をこなし、笑わない子供。厳しい訓練のせいではとも思えたが、初めからだったようだ。まあ、笹川には時折りあるようだ。もともとが暗殺者であった初代がそうで、その性格が故に常人外れた身体能力と技術を身に付けたと言うのだから、納得である。何故それが神凪の護衛になったかと言うと、初代が神凪の当主にであって感情を芽生えさせたと言うのが元だった。それから親友であり、主人になった神凪の当主に子息も使えてきたと言う。
だから、俺もいずれ感情を得られると思っていた両親は特に気にせずに兄と同じ様に接する事にしたらしい。
そして、5つになった時にそれは起こった。

奈月との対面。

兄と一緒に両親に連れられ挨拶をした。

「さわだなつきです。6さいです」

オレンジ色の棲んだ瞳がきれいで、見惚れた。あんなにきれいなものを見たのが生まれて初めてだった。

「きれい……」

呟いた



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