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蓬莱で生まれた胎果の麒麟(赤麟)と弟がその王。

昔から穏和な朱黎(しゅり)はベジタリアンだ。そのせいなのか、身長は弟である紅祐(こうすけ)と変わらないし、元から童顔なのもあってか姉弟に見られない。そんな二人は仲がとても良く、一番上の長男の俺(17も離れた)から見たら双子のようだった。

蓬山からの迎えが来たのは朱黎高校1年、紅祐小学6年の時だった。

蓬山からの迎えだと言った女怪と名乗る半獣(はんけもの)に攫われて、たどり着いたそこは、全く知らない土地だった。始めは昔の中国かと、タイムスリップだと思ったけれど、言葉が通じる事や、隣の獣の存在に、嫌でも異世界だと気付かされる。
「私は何なんですか…」
絶望よりも、不信感。置かれた状況は何より迎えにきた理由は?するべき事があるなら、やらなきゃと思う。けれど、家には帰りたかった。紅祐がいるから。

蓬山に来た時には成獣していて、珍しい赤麒麟だった。

獣の姿になった自分を見て、絶望した。
(もう、帰れないっ)
昔から、他人と違うと思うことはいろいろあった。肉を受け付けない身体。テレビ番組での暴力シーン何かも見ていて苦しかった。
「麒麟は霊獣です。その性質はどんな者にも慈悲を持つ生き物です。ですから、御身を護る使令が必要なのです。」
「必要ありません」
命令で、他人を傷付けさせるなんて、堪えられない。それならいっそ
「自分の身は自分で…これでも護身術を習ったことはあります。」
護身術、教えて下さい。




「姉さんが麒麟?慈悲を持った生き物、か。それは、慈悲を麒麟は与えることが出来る訳ではないんだな。」
「与えることができるのは、結局は王だよ。誰にでも与えることが出来てしまったら、罰せなければならない人がそのままになってしまうから。それに麒麟は平等ではないよ。少なくとも私は、紅祐が何より大切で、側に居たいし、紅祐が危険に曝されるようなら私はそれを排除しようとするもの」


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