馬鹿ばっか


 60※

目が回る。赤い色に酔いそうになって、そこにきて神楽に根こそぎ酸素ごと舌を吸い上げられれば頭の中は真っ白になったまま暫く機能麻痺する始末で。
長いキスの間、まるで生きた心地がしなかった。
死んでいるのかもわからない、自分がなにしてることすらも。
ちゅぼんと小さく音を立て漸く神楽の舌は引き抜かれた。
そして、開きっぱなしで唾液駄々漏れていた口元を舐め取られる。
その舌の感触に驚いて顔を上げれば、ニコニコと笑う神楽がいて。


「んー……やっぱ、ハジメ君可愛いねえ。でもでもでもっ、俺以外とこういうことしちゃ駄目だよ〜?」

「っ、するかよ……ッ」


というかお前ともしたくないが言ったところで聞いてはくれないのだろう。
咄嗟に唇を拭おうとした矢先だった。


「本当っ?嬉しいなぁ」

「っ、おいっ!」


抱き着かれ、思わずバランスを崩しそうになる。
けれど、背後、腰に回された神楽の腕に抱き留められ、みっともなく尻餅をつかずに済む。
しかし、すぐに尻餅でもついてでも奴の腕から逃げた方がよかったと後悔するハメになるのだけれども。


「神楽、おい……っ」


人が見ている前で、というかこいつらも神楽とグルなのだが、それでもやっぱり俺にとって人目以外の何者でもない。
腰に絡み付いてくる神楽の腕を引き剥がそうと掴んだ瞬間、丁度腰回りを支えていた神楽の手がもぞりとケツに伸びてきて。
次の瞬間、衣類越しに両方のケツをぎゅっと揉まれ、口から心臓が飛び出しそうになる。


「ッな、てめ、手ぇ離せって!」


逃げ腰になって逃れようとするが、離れれば離れようとするほど腕に力を込めて抱き締めてくる神楽から逃げることが出来なくて。
咄嗟に神楽の腕を掴むが、輪郭を確かめるようにぐしゃぐしゃに揉みしごかれれば衣類越しとは言えもどかしい刺激に下腹部の力が抜け落ちそうになる。
そして、終いにはこいつだ。

 
「んー?どうしてぇ?」

「ど、うしてって……っ」

「ハジメ君のお尻はこぉーんなに柔らかくて気持ちいーのにさぁ?」


やめるどころかにやにや笑う神楽の手の動きは大胆になってきて、腿の間、股倉に挿し込まれた指に割れ目を探るように穿られればぞくりと全身に寒気が走る。


「ぅ、……ッ」


やばい。
妙なこの部屋のせいか、力が入らない。
こんなことになってると岩片にバレたら何を言われるかわかったものではない。



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